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馬鹿な親父

 未曾有という言葉はこういうときに使うのだといえる地震・津波さらに原発事故のトリプル災害、胸の奥をかき乱されるような事態の進行をリアルタイムで見続けた1ヶ月でした。
 アナウンサーというのは事態を淡々と伝えるものですし、NHKのアナウンサーはそのあたりはプロだなぁと思うことがあります。ただ今日昼間、14時46分を前後してこの1ヶ月を振り返った番組で、NHKの畠山智之アナ、いつもは淡々と冷静なのに、こみ上げる涙をこらえながら中継司会をしているように見えました。
 いろいろな場面がありましたが、私は消防士の父親を亡くした中学3年生の男の子の映像が印象に残っています。

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 彼の父親は消防士で、地震が起きて津波警報が出る中、堤防の水門を閉じるために出かけていって帰らぬ人になってしまったとのことでした。仕事となれば一途にまじめにやる父親だったということです。そうでしょうね。
「なんで逃げないんだ。馬鹿だよ、親父は・・・」そう言いながら、彼は涙こそ見せないけれど言葉を詰まらせていました。中学3年である彼は将来を聞かれて、消防士になるときっぱり言いました。"無理していないかい?"と問いかけたくなる気持ちと、無理をしながらも「馬鹿な親父」と「消防士になる」という言葉の間にある彼が渡った深い川を想って、胸の奥を衝かれました。
 私の父親は、真面目ではあるけれど融通は利かず生き方としては明らかに下手な人でした。子供の私から見ても、もう少し要領よく生きれば貧乏から抜け出ることが出来るのに・・・と思っていました。「馬鹿な親父」でした。その意識が変わるのは、父親が亡くなって10年が過ぎて、自分自身が40代になってからです。父親を認めるというのとも、尊敬するというというのとも違う。父親のように徹底は出来ないのだけれど、自分の中に父親的なものを見つけてからです。父の生と死、自分が何をよりどころに生きるのかに悩みもがいてたどり着いた境地。
 極限の状況にさらされると、凡人が数十年かかる境地に数日で到達するのか、そう思うとやはり涙がこみ上げてきました。そんな子供が多いのかもしれません。やはりそれは悲劇なのだと思うのです。少年はそんなに早く分別を持たなくても良い。まだまだ馬鹿な息子でいて良いではないか。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

「親を思う子の気持ち」
「子を思う親の気持ち」
考え方、感情の違いはあれど、
結局、「カエルの子はカエル」って
ことなんですかね。

僕も15年程前、父親が家出して
それから自分が辿った道、やってきた事は
案外、自分の父親の良い所、悪い所を
他の人に表現したりしているな…と
感じた事も多々ありました。

今の僕に出来る事は
「父親として、エンジニアとして、
学び続ける姿勢を見せること」

3年くらい前に思いついたんですが、
普段から机に向かって、パソコンで資料作りしたり
NDIの試験勉強しているところを普通に見せていれば
子供は勝手に真似して、将来、母親(僕の妻)が
「勉強しなさい!」なんて叫ばずになるのかなと。

時間はかかるし、サンプルも一つしかとれませんが
どんな未来が出来るか楽しみな個人のテーマです。
NDIの2次試験まで残り約一ヶ月。
いつまでも地震後の影響に引きられずに
前進すべきところは突き進む。
今はそんな心境です。

UTの資料送付まだ出来そうにありません。すみません。
明日、3回目になりますが装備、やることの手順を準備して
「原発爆発後の浪江町の自宅(原発から約10Km)」へ行ってきます。
たまたま、行った時に大きな余震が来ない事を祈ってますが。

投稿: こぶない たかのり | 2011年4月15日 (金) 04時51分

私も、自ら学ぶ背中を見せてきたつもりです。ただ、子であったこと、そして親になっての少ない経験だけですけれど、親の思いは10代では伝わらないと考えたほうが良いと思っています。でも間違いなく伝わる。

>NDIの2次試験まで残り約一ヶ月。いつまでも地震後の影響に引きられずに前進すべきところは突き進む。

そうですね。やがて復興の過程で非破壊検査の重要性が増すとともに技術者の不足がネックになってくるときがくるように思います。
JSNDIの試験にかかわっている人たちに、受験者がどのような環境で何を思い受験しているのかを知っておいてほしいですね。少々の困難があるからといって簡単に中止などという決定をすることがないように。

>たまたま、行った時に大きな余震が来ない事を祈ってます

今怖いのはこれですね。私もご無事を祈っています。

投稿: SUBAL | 2011年4月15日 (金) 21時21分

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