« デジタル超音波探傷器のゲートとプログラミング | トップページ | 目はしょぼしょぼだけれど、いたずら心も湧いてきた »

三菱重工が検査の手抜き?

 非破壊検査にかかわるものとしてはあれっというニュースが入ってきました。日本経済新聞の記事より、

*********************************************
三菱重工、国交省から厳重注意 検査工程の規定違反で
    2011/7/8 22:58

    三菱重工業は8日、航空機のチタン部品の検査工程を簡略化するなどの規定違反をしていた問題で、国土交通省から航空法の規定により品質管理を徹底するよう厳重注意を受けたと発表した。国交省が6月30日から7月4日にかけて名古屋航空宇宙システム製作所大江工場(名古屋市)に立ち入り検査し、検査の前処理作業が規定通りに行われていなかったことなどを確認した。

 国交省は三菱重工が国産ジェット機「MRJ」の製造を進めていることもあり、再発防止策や生産管理体制の見直し、出荷済み部品の検査計画などを7月26日までに文書で報告するよう求めた。三菱重工は「原因究明を進め、再発防止や信頼回復に全力で取り組む」としている。

 国交省によると、三菱重工からアルミ部品についても同様の規定違反があったとの報告を受けたという。アルミ部品の規定違反は1989年ごろからで、部品点数は1100種類、13万個にのぼる。チタン部品と合わせると、部品点数は2800種類、46万個にのぼる見通し。
********************************************

 国土交通省の文章、および三菱重工が発表している文章からすると、蛍光浸透探傷検査での前処理として行うエッチングの時間が規定より短かったということのようです。

にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ
ポチッとクリックで応援

 チタニウム部品の検査ですから、おそらく後乳化性蛍光浸透探傷試験でしょう。

 浸透探傷試験では、浸透液槽に部品を漬けるなどして液を表面につけて、表面に開口したきずに浸透液を浸み込ませる方法です。きずの開口部が何かに覆われているとか、何かでふさがれているとかすると、きずの中に浸透液が入っていかないとか、きずではないのにきずのように見える疑似模様の原因になるとかして、試験として成立しないということがあります。このため表面ときずの中をきれいにする前処理が行われます。

 前処理にはいろいろな方法がありますが、化学薬品で表面を軽く削り取るエッチングのそのひとつです。

 そのエッチング時間を規定とは違って短縮したということのようです。これは微妙ですね。表面の状態は、その前の加工工程によってずいぶん変わってきます。実際にきずの見逃しにつながるかは、ものを見て実際にやってみて判断するしかないと思います。

 今回のケースは、実際に見逃しにつながるかどうかというよりは「書類に書いてあったことと違っていた」という形式的な問題を指摘されています。

 20年ほど前に、JALが米国籍のリース機体の浸透探傷検査で、後乳化性浸透探傷試験をすると書いてあったのに水洗性浸透探傷試験を行っていたとして、「手抜き検査」とたたかれたことがありました。実際には、高感度水洗性浸透液を使って後乳化性浸透探傷試験と同等かそれ以上の検出精度があることが確認され日本の当局の間でも承認されていて技術的には問題がなかった事案でした。ただ書類上の問題でした。

 検査の問題、と言っても実際のきずの見落としにつながる問題か、手続き上の問題かはやはり区別して考えるべきでしょう。

 もちろん書類上の不備も、ミスはミスですしありうべからざることで、速やかな是正は必要です。

追記:当初、新聞記事を読んでブログ記事にしました。Shoさんのコメントによって認識の誤りに気づきましたので、大幅に記事内容を訂正しました。

にほんブログ村 科学ブログへ

アイコンをクリックすると、ブログランキングの応援になります。現在3位。

|

« デジタル超音波探傷器のゲートとプログラミング | トップページ | 目はしょぼしょぼだけれど、いたずら心も湧いてきた »

非破壊検査」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。更新をいつも楽しみにしております。
三菱重工のHPや国土交通省が出しているPDFファイルをによれば
蛍光浸透探傷検査前のエッチング時間が規定以下の時間、
とあります。
「前処理」で合っているのではないでしょうか?

投稿: Sho | 2011年7月 9日 (土) 16時46分

Shoさん

コメントありがとうございました。ご指摘のとおりですね。記事内容を訂正しました。

投稿: SUBAL | 2011年7月 9日 (土) 18時18分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222291/52160118

この記事へのトラックバック一覧です: 三菱重工が検査の手抜き?:

« デジタル超音波探傷器のゲートとプログラミング | トップページ | 目はしょぼしょぼだけれど、いたずら心も湧いてきた »