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IHIジェットエンジン講座

 9月16日(金)に勤務先で「IHIジェットエンジン講座」が開催されました。IHI航空宇宙事業本部瑞穂工場から、整備&部品修理担当部長さんと総務部の担当者の方が来校されて、39名の学生に3時間に渡って講義をしていただきました。テーマは、メーカーにおけるジェットエンジンのメンテナンスについてです。 

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 日本を代表するジェットエンジンメーカーの現場を束ねる責任者の方の講義ですから、私にとっても毎回新鮮でとても勉強になりました。話の仕方も、自己紹介やユーモアなどを交えながら、時折学生へ質問を投げかけながらの講演で、内容は専門的でありながら親しみやすいものでした。これで9回目になるのですが、私にとっては感慨深いものがありました。

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 10年前、私が担当する学科で、カリキュラムの再編を検討して、航空工場検査員国家試験の原動機部門受験を目標としてジェットエンジンの授業を拡大拡充することを決めました。経済産業省へ行って調整をしたり、担当教員の選任やシラバスの作成など準備に取り掛かりました。学科の責任者として、私自身が改めてジェットエンジンについて勉強することからはじめました。私の専門は非破壊検査ですから、大変でしたが、勉強自体は楽しいものでした。

 その中で、理論・材料・法規については何とかなるものの、製造修理については実際にやっていることがベースになるにもかかわらず経験のあるものがおらず、決定的なネックになることが浮き彫りになりました。

 そこで、世界で5本の指に入るジェットエンジンメーカーであるIHIさんに助けを求めることにしました。当時の田無工場を訪問しました。ひたすら暑い夏でした。

 当時の担当者の方に訪問の趣旨を伝えると、顔が見る見る険悪になったのを覚えています。「専門学校に来てエンジンの製造修理方法を教えろ?あなたはメーカーというものを知らないのか、そうでなければIHIを馬鹿にしているのか」。要請を断られるのは想定していましたが、申し出の姿勢そのものについて怒りを買うことまでは思っていませんでした。ここで引き下がってはまずいと、意を決して反論しました。「馬鹿にしている相手にわざわざ頭を下げにくるわけがない」を皮切りに、何をどのように教育をしたいのか、どんな若者を育てたいのか、しかし私たちの弱点は何か、それを助けることができるのは誰なのか、切々と訴えました。本心はもうだめだと思っていました。引き下がるにしても相手に背を向けてすごすご引き下がるわけにはいかない、正面突破をしてさっと引くしかないと考えたのです。

 先方の返答は意外でした。「よくわかりました。やる方向で検討しましょう」。「えええっ!」どこで引くかを考えていた私にとっては思わぬ展開でした。

 それから、毎年(諸般の事情により抜けた年もあるのですが)ジェットエンジン講座を開催しています。野口さんとともに宇宙飛行士を目指したという方、エンジンの専門家でありながら飛行機オタクの愉快なおじさん(この方は亡くなられましたが)・・・いろいろな方に来ていただきました。

 学生たちにとっては、雲の上のような方々の講演を聴くことで、もちろん勉強にもなるのですが、あんな愉快で楽しそうな大人になりたいというモチベーションが形成されるという副次的な効果も生まれました。実際に、そのモチベーションでその後IHIに入社した学生も多くいます。

 私がこのIHIジェットエンジン講座をアテンドするのも、今回でおしまいです。少々寂しい気もしますが、何事も終わりのときは来るもので、何かを終わらせて新しいものが始まるのが世の常なのだと自らに言い聞かせています。

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コメント

SUBALさん
講義の開催や、非破壊検査協会への会議の出席などタフに動いていらっしゃいますね。大変そうですがものすごく楽しそうです。
私は今は何もかもが中途半端で目の前にやらなければならないことが散在している状態で、技術的な面白いブログも書けていません。今一度腰を据えてやらねばと思っているのですが疲れが出てしまい今日は午前半休を取りました。。。

投稿: ニコニコ | 2011年9月18日 (日) 12時00分

ニコニコ さん

 >大変そうですがものすごく楽しそうです。

 打てば響く人たちに囲まれて、楽しいですね。そんな感じになってきたのは40歳を過ぎてからです。何をやってもうまくいかない長い時代がありました。

 実はさすがに疲労気味で、今日もやらなければならないことがあるのですが、なかなか進みません。こんなときは、思い切ってのんびり休むのが良いのかも知れません。

投稿: SUBAL | 2011年9月18日 (日) 13時58分

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