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某大学教授との議論を前に進めるために

 某大学の教授の非破壊検査に関する暴論に反論してきました。昨日から今日にかけて、某教授(DrHironariYamadaさん)は、私のブログにコメントを寄せるとともに、ご自分のブログにこの件に関する新たな記事(「福島原発事故が起きる日本文化の特徴2」)を掲載しました。

 コメントに関しては、不毛なやり取りによる時間の浪費を避けるために、対象と用語を明確にしてほしい旨の質問をしておきました。

 DrHironariYamadaさんのブログの新しい記事の内容は、前の記事よりは落ち着きを取り戻しています。しかし、あいかわらず混迷は続いています。

 冒頭の部分で、私とのやり取りをこのようにまとめています。

「先般の投稿に対して、非破壊検査関係者の方からご批判を頂き、10ミクロンで検査する必要は無いのだと主張されました。論争の続きは(SUBAL)さんのブログをご覧下さい。」

 私が言っている事が「10ミクロンで検査する必要は無いのだと主張」とまとめられています。いったいどこをどう読んだら、そのようなまとめになるのか、実に不思議な方です。

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 私は「1ミクロンの亀裂が有ると、装置は急速な破壊に進む」という論拠に基づく「1ミクロンの亀裂を発見できる精度がなければ検査をしたことにはならない」という結論が間違っていると主張しています。

 すなわち「ミクロンオーダーの亀裂によって急速破壊をする材料は使われていない」という論拠に基づいて「mmオーダーの亀裂を検出している非破壊検査は有用である」という結論を対置しています。

 さらに、ミクロンオーダーの亀裂の検出とサイジングが可能な装置ができれば、疲労割れや応力腐食割れ(SCC)といった時間経過が伴うゆっくりと進行する破壊現象に対しては、早い段階で検出して適切な対処ができる可能性が出てくる、ということも当初から主張しています。

 この私の批判と主張を、彼は「10ミクロンで検査する必要は無いのだと主張」とまとめるのです。つまり、結論とそれを導く論拠が否定されているのに、この記事を書いた自らの意図(彼が開発した装置を使うべきだ)が否定されたと受け止めるのです。これは意識してのことか無意識かは別にしても、明らかに論点のすり替えでしょう。

 私は、現在行われている非破壊検査に対して「検査したことにはならない」という結論が暴論だといっているのです。「検査したことにならない」のなら、現状行われている非破壊検査を一斉にやめても、事故の発生率は現状と変わらないということになります。そうだとすれば無駄ですから全てやめれば良いのです。しかしそれは現実を知るものにとっては、現場でコツコツと地道に安全安心を確保するための仕事に従事している非破壊検査技術者に対する冒涜であるだけでなく、非破壊検査技術の軽視であり非常に危険な考え方です。

 もちろん、より小さなきずを見逃すことなく確実に検出しサイジングをしていくための研究開発も地道に行われています。もしも10ミクロンの亀裂を見逃しなく確実に検出し、サイジングができる技術が開発されれば、破壊事故の発生率が劇的に減少することは考えにくいですが、安全を確保する技術の進歩に貢献することは確実です。

 DrHironariYamadaさんの新しいブログ記事中にある、非破壊検査技術はもっと重視されるべきだという主張は、ごもっともでまったく異論がありません。DrHironariYamadaさんが本当にそう思われるのならば、非破壊検査技術がどこでどのような貢献をしているのか、そして現状の限界と問題点は何なのか、踏み込んだ調査を是非していただきたいと思います。その上で、胸襟を開いた前向きな議論をさせていただければと思います。

 ひとつだけ苦言を呈しておけば、DrHironariYamadaさんのブログにした私のコメントを未だに公開しないのは、フェアーではありません。公開しない理由があるのなら、少なくともその理由を表明するのがマナーです。

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コメント

 SUBARUさんのご意見にまったく賛成です。
某大学のyamada教授は「1 ミクロンの亀裂があればその装置は急速に破壊する」と書いていました。1ミクロンの亀裂を検出できなければ役に立つ非破壊検査でないとも書いていました。
しかしご自慢の検査装置でも10ミクロンの亀裂しか検出できないとも書いています。
 1ミクロンの亀裂から破壊が急速に進む材料とその構造を教えてほしいと質問は全く無視されました。(教授殿、本当はあなたは知らないのではないですか)。
 「ドイツのマックスプランク研究所の研究者に聞いた話では、車は全点検である」とあなたは書いています。これもいつの時点での検査なのか,検査期間はどうなのか、数万点あるといわれている部品のどの部品を対象にしたどのような検査なのか教えてください。私は、ドイツ鉄道脱線事故の裁判に専門鑑定人として参画し4年にわたりドイツの材料強度や非破壊検査の実情を調査し、裁判にて証言しました。あなたが話を聞いたドイツの研究者は誰ですか。その人の部署だけでも教えてください。

 

投稿: Kenji Hirakawa | 2011年11月 4日 (金) 10時50分

Kenji Hirakawa さん コメントありがとうございました。

 私もドイツの自動車の話が出てきて、何を言っているのだという気がしました。ドイツの知人に問い合わせようかと一瞬思いましたが、そのレベルの話ではなさそうです。検出下限、サイジングの精度、検査頻度・・・あたりがごちゃごちゃになっていて、実際場面を想定することなく「ともかく詳しくやればよい」という以上のものは彼の頭の中にはなさそうです。この点は少なくとも科学や技術にかかわる人の発想ではないと思います。

 ドイツのマックスプランク研究所の名前なんか出されると、私のような平民は「殿、恐れ入りました」と後ずさりしそうになります(笑)。でも眉に唾して聞かなければならない話もあるようです。

投稿: SUBAL | 2011年11月 5日 (土) 02時23分

「DrHironariYamadaさんのブログにした私のコメントを未だに公開しないのは、フェアーではありません」という問いかけに応えて私のコメントが公開されました。ただし、公開されたのは3分の1です。

 ようやく歯車がかみ合うのかと思ったら、議論のシャットアウト宣言です。

「貴方のブログを見ますと、私は独善的であるとか無知であるとか散々におっしゃっているわけでして、そおいう方とまともに議論が出来るとは思われないのです。私は今貴方が議論したいことにそれ程興味は無いのです。」

 「まともに議論が出来るとは思われない」といいながら私のブログにはコメントを寄せています。要は「その言い方は何だ!」ということですね。言い方の問題にして恫喝して逃げる。

 私は本心憤っていますから、感情的な表現になって、水掛け論と言い方論になることを避けるために、感情を抑えて冷静な表現になるように注意をしてきたつもりです。独善的といったのは、批判的コメントを公開しないことについてです。無知といったのは、亀裂と破壊を問題にしていながら、それを対象とする学問である破壊力学についてごく初歩的な知識に欠けていることを指摘するときに使いました。もっと上手な表現があったかもしれません。私の修行不足です。反省しています。

DrHironariYamadaさんのコメントに対してコメントバックしました。公開されない可能性が高そうですので、ここに転載しておきます。

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コメントバックありがとうございました。

「貴殿は、当初1ミクロをを見る必要はないと公言されいていました」とありますが、そんなことはありません。この件に関する私のブログ記事は、途中で書き換えるということはしていませんので、冷静に読んでいただければわかっていただけると思います。
私も、あなたとこの議論を長々と続ける気はありません。時間がもったいないと思います。ただ、ご自分が発言したことに責任を持つことぐらいはどうしてなさらないのか、私には理解できません。数万人の人が携わる仕事の存在意味を否定されたのですよ。

>是非一度装置の見学においで下さい。

お誘いありがとうございます。おつくりになった装置にはこの業界にいるものとして関心があります。機会があれば是非に。
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 私としては、この件に関してはもう良いかなという気がしています。時間をかけて、何か前向きなものが出てくる期待が持てません。やらなければならない仕事が山積みになっています。 


投稿: SUBAL | 2011年11月 5日 (土) 09時36分

SUBARUさん、私もこの件はもうこれでやめます。

投稿: Kenji Hirakawa | 2011年11月 5日 (土) 11時24分

Kenji Hirakawaさん それがよろしいかと。
このやり取りで収穫だったのは、Kenji Hirakawaさんの鉄道車軸における100μmと1000μmの亀裂と疲労強度の関係に関するコメントだったような気がします。もう一度「ドイツ高速鉄道ICE‐3・ケルン脱線事故―鉄道用車軸の金属疲労はなぜ起こったか 」を読んで勉強させていただきます。
京大・同志社・立命館といえば、北海道の田舎者でも知っている伝統のある名門ですが、中には変な人もいるというつまらない落ちになってしまいました。

投稿: SUBAL | 2011年11月 5日 (土) 13時00分

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