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ガラス繊維の太さと強度

 A.グリフィスが1920年に発表した論文を見つけたという記事を先日書きました(こちら)。この論文、改めて歴史的な論文だということが良くわかりました。

 今日は改めてわかったことではなくて、この論文を探した目的であるグリフィスのガラス繊維の強度試験のデータについてです。

 論文の中に、ガラス繊維の太さと破断時の応力についての実験データがありました。太さが違えば、耐えられる最大荷重は当然違ってきます。しかし、荷重を断面積で規準化(荷重/断面積)した応力で考えるとき、強度は太さでは変わらないというのが、材料力学のベースになる考え方です。グリフィスの実験は、この常識を覆して、太さによって強度が異なるというものでした。実に面白い実験です。

Strength_of_glass_fibres

 きずの存在が強度を低める、このことを示唆する実験なのです。JSNDIのテキスト等にこの歴史的実験についてまったく触れられていないのはどうしてだろうか、そう思うぐらいの実験です。

 このデータがあれば、表計算ソフトを使ってグラフにすることができます。

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Griffthexperiinch

 実は、ジェイムス・エドワード ゴードンの「強さの秘密―なぜあなたは床を突き抜けて落ちないか 」(1999年 丸善)という本の中にガラス繊維の太さと強度というグラフが出てきますが、これと元データが同じだということがわかります。

Griffthcrackglass

 グリフィスの元データもゴードンのグラフも、単位系がインチポンドでして、私なんぞにはピンと来ません。元データさえあれば単位換算はEXCELを使って簡単にできます。SIに単位換算したグラフがこちら。

Griffthexperi1

このグラフを得るために、いったい何日何時間を費やしているのやら(笑)。

追記:このグラフは、私の本『おもしろサイエンス 破壊の科学』に掲載するために作りました。

グリフィス理論から始まった工学としての「破壊」を学ぶには、次の本。

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コメント

SUBALさん こんばんは

ペンギンと訳書の両方をもっています。「同じ本を2冊持っている」ですね。
和訳はちょっと酷いので記事にしたような気がします。それにしても訳本の値上がりには驚きです。

同じ本でも注目する個所は全く違いますね。私はゴムに興味が集中していました。

投稿: 271828 | 2011年12月 3日 (土) 20時43分

 この本の訳本は、Amazonでは古本しか扱っていませんね。絶版になっているようです。原著は、円高もあるのでしょうか安いですね。
 この本にだけ、ガラス繊維実験のグラフがあって、実験元データがないかなと探してグリフィス論文を見つけました。Excelでグラフを書いて近似曲線を描いたら、ゴードンのグラフと一致しました。累乗近似でガラス繊維径のほぼ-2乗に比例する式が得られます。なかなか興味深い実験です。

投稿: SUBAL | 2011年12月 3日 (土) 22時34分

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