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カタヌキと破壊工学

 何でも自分の体験に引き寄せて理解をしようとするのは、ときに物事の理解を妨げることがあります。論理と実験の積み重ねの上に証明された事実を、たとえ感覚的には違和感があるとしても、受け入れるのが科学的な姿勢だと思います。

 ただ、やはり体験=遊びに裏打ちされることでやや面倒な理論がすんなり理解できることもあります。力学なんかは、特にそうです。

 材料力学や破壊力学を学んでいると、子供のころに夢中になって遊んだ体験がふと蘇ることがあります。

 たとえばカタヌキ。私は、お祭りになるとやってくる「カタヌキ」が得意でした。多分当時5円か10円でカタヌキ菓子を買って、うまく型を抜くと難易度に応じて数倍から場合によっては数十倍の現金が返ってきました。いまネットで購入できるのですね。

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 夢中になってやりましたね。貧乏な家庭の息子でしたから、ポケットにはわずかな小銭しかありませんでした。それが知恵と工夫で、数十倍に増えるのです。

 まずは、どのようなかたちが難しいのかを見極めることが肝心です。

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 この中では左側の「ひょうたん」「飛行機」「うさぎ」あたりが難しい部類になります。 もっとも難易度は交換レートに反映されていますからそれ自体を判断する必要はありません。問題は、そのかたちがなぜ難易度が高いのか、攻略法があるのか、自分の持っているスキルとの兼ね合いで攻略法の成功確率がどの程度なのかということです。最初はレートの低いかたちでちまちま稼いでおいて、手がなれたころ(=資金がたまったころ)に難しいのに挑戦するというやり方でした。

 たとえばいま「左側のかたちがなぜ難しいのか」と問うと「応力集中」というように、概念規定をして「分かった気になる」ということがえてしてありがちです。空疎な概念規定では、カタヌキの勝負には絶対に勝てません。

(1)割れはまっすぐ進もうとする

(2)割れは最短距離を進もうとする

(3)てこの原理で根元が割れる

 このような観察に基づく「整理」が有効でした。

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 たとえばウサギの形のときにどこが危ないか、どこから攻めるるかを構想します。もちろん失敗もあるわけで、失敗こそが我流の理論に肉付けできるチャンスでした。

 私が子供時代をすごしたのは北海道の釧路市ですが、夏にはガス(海霧)がよく発生します。ガスがかかった日は、カタヌキのおじさんが店を出しません。どうしてだろうと考えて、湿度が高いと「かた」が軟らかくなって割れにくくなるという事実にたどり着きました。

 この事実は貴重でした。湿らせれば成功確率が高まるわけです。でも、人工的に湿らせるのは「不正」とみなされて交換に応じてくれません。敵はその判定方法も持っていて、生半可では通用しません。試行錯誤の末に、見破られない湿気の与え方を考え付きました。(ここには書きませんが・・・)成功確率が高まり、確実にお小遣いを増やしていた私は得意満面でした。

 脆性破壊・延性破壊なんてことを考えたときには、子供のころの体験が蘇ったものです。

 私のような子供ばかりだと、おじさんは商売になりません。でも成功して稼いで得意顔をしている餓鬼の存在が、客寄せの広告塔になっていたという「大人の事情」は、文字通り大人になるまで気づきませんでした。

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2位です。こちらの1位のブログはさすがに面白いなぁ。

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コメント

こんばんは。

湿気を与える方法…

クシャミをして、湿気を与える

しばらく手で握っている。
焼き芋を持ちながら、湯気の湿気を与える。

この中で正解は…ありませんね。。。

投稿: | 2011年12月23日 (金) 22時37分

こんばんは。

湿気を与える方法…

クシャミをして、湿気を与える

しばらく手で握っている。
焼き芋を持ちながら、湯気の湿気を与える。

この中で正解は…ありませんね。。。

投稿: | 2011年12月23日 (金) 22時37分

ああっ いずれも私が試した方法ではありませね。表面にうっすらと白い粉が付いているのですが、これが白く見えている状態を保たなければならないのです。その方法は教えないよ。ヒ・ミ・ツ!!

投稿: SUBAL | 2011年12月23日 (金) 22時59分

すみません、また名前入れるの忘れました。。。
しかも2つも入っていますね。
ちなみに子供の頃私はこのカタヌキで成功したことは一度もありません。(笑)

投稿: ニコニコ | 2011年12月24日 (土) 13時11分

こんにちは。
はぁ~凄いです…子供ながらにそこまで考えてやっていたんですか…流石です。
私は何の考えもなく勢いで突っ込んで玉砕ばっかりでした。
それにしても、その方法…気になります~~。何だろ…針の先を舐める…って、バレバレか…う~~ん…寝ずに考えよ…って、勉強を妨げる障害がまた一つ…。

投稿: ぐるぐる | 2011年12月24日 (土) 15時29分

ニコニコさん ぐるぐるさん

なにせお金がかかっていましたから、真剣でした。
お祭りの出店は、今から考えるといろいろ学ぶところが多かったように思います。

轆轤首などの見世物小屋の呼び込みも、ずーっと見ていて、その話法が楽しくて口上を丸暗記して真似していました。(見世物小屋自体には入った記憶がありません)
人々の不安心理を衝いてインチキくさいお札を売る、「占い師」のパフォーマンスのトリックを見破るために数時間粘って、分かったときは愉快でした。(お札を買った記憶はありません)

お金を稼いで、そのお金で何かを食べて、あちこちを回る、ずいぶん安上がりで楽しめる空間でした。

>寝ずに考えよ…って、勉強を妨げる障害がまた一つ…。

いやまぁ、ほどほどに(笑)。

投稿: SUBAL | 2011年12月24日 (土) 15時48分

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