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金属VSドリル対決と洞察力

 「ほこ×たて」対決のメインともいえる金属対ドリルの対決第5弾が、今日フジテレビ系列で放映されました。
 面白かったですね。誰かシナリオを書いているのか、と思わせるほどです。日曜日のゴールデンタイムに、金属の加工、摩擦、割れない(靱性)・・・などをめぐる技術者の対決をある種の興奮を持って見守っている。たまにはテレビも良いことやるわ。
 ところで、結果は、20mmの厚さに対して貫通まであと3mmを残してドリル側が磨耗してしまい金属側の勝ち、という結果でした。 

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 17mmまで穴が開いたということですね。他方ドリルの側も、先端は画像で見る限り、5~6mm程度磨耗して砥粒がサイドを残して剥がれ落ちています。摩擦で削られ熱でやられることを想定してダイヤモンド径を大きくしたり、冷却水の供給・排水がしやすくする工夫がされていたようです。
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 この対決について、現場での取材もしている「製造現場ドットコム」の無造作淑女さんが、早速解説記事をブログに掲載しています(「ほこ×たて」緊急解説第2弾! オーエスジーVSニッタンの激闘!)。この方、番組の中で業界紙の記者が予想をしていましたが、その中で唯一「金属側の勝ち」を予想した方です。加工される材料、加工技術を深く洞察した結果の予想だったようです。その洞察力には脱帽です。私は、今回はドリルの勝ちを予想していましたから、この解説記事を読んで恐れ入りました、という感じです。勉強になります。
 私が気づいたことを、3つだけ。
(1) ニッタン側は、割れない工夫のひとつとして削られる部分の外側に色から見て金属光沢のある割れにくい粘りのある材料を配置しています。内部の材料に亀裂が入っても亀裂進展が阻止される、また亀裂の発生を外側から拘束する役割を担わせていたのだろうと想像します。
(2)多分、表面と内部では硬さを変えているのだろう。金属材料では表面改質の技術は古くからいろいろと工夫されています。機能傾斜的に作ってきたのでしょう。そのことを多分OSG側も読んでいて、だから最初の表面部分の突破には時間をかけて慎重にやっていたのでしょう。逆にニッタン側には割れない工夫のために内部は掘り進められるのは覚悟をしていても、反対面の表面近傍が大きな勝負になるとかんがえていたのではないか。掘り進んだところでは、ドリル側がへたったところで冷却水の供給と排水がやりにくくなるという事態が起こりそうです。
(3)反対面を見ると、ねじ穴が4隅に開いています。これはニッタン側が加工してきたのでしょう。外側の材料は普通に雌ねじ加工ができる材料であることを示しています。

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これは、OSG側の再挑戦がありそうです。エンターテイメントの影で、何かが生み出されているようで、わくわくします。

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いちおう1位は維持しているようですが・・・

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コメント

こんばんは。
私もドリルの勝ちを予想してたんですが・・・・・・。
MCのZ軸は20mmを貫通するプログラムをフィニッシュしたのに、穴は貫通しなかった。
実は穴が貫通しない場合、ドリル先端に切り屑が詰まってスピンドルサーボアラームによるマシニングセンタのアラーム停止を予想してたんですよ。
だからあそこまで進んだことで、社員の皆さんと一緒に勝ちを確信し、関越自動車道駒寄PAで手拍子してたんですけど。
事前のトライアル無しであそこまで明いた、ワークは3mmを残して逃げ切った。
現実社会ではこういう勝負はありません。
もちろんあの焼結合金は今後価値のある材料開発に続くでしょうし、画期的なあのドリルも実用に供していくでしょうけど。
おもしろい勝負でした。興奮しました。

投稿: dareyanen20 | 2012年4月16日 (月) 00時19分

dareyanen20 さん コメントとありがとうございました。

面白い勝負と、結果でしたね。加工機械がご専門からの視点、勉強になります。多くの人が、自分の知識と経験を元に予想をしながら結果を見守ったのだと思います。予想が当たっても外れても、こういう話題でわいわいがやがややっていることの中に、アイデアと活力が沸いてきそうです。

投稿: SUBAL | 2012年4月16日 (月) 00時34分

お久しぶりです。

僕の予想は、金属だったのですが金属加工をしてる僕にとっては、素直に喜べませんでした。

感想なのですがドリルの方が分が悪いと思うのは、僕だけでしょうか?

金属を、予想したのも実際職場だと色々と条件を、変えながら加工し最適な方法を、見つけていくので一回勝負だと不利だと思ったのと、OSGさんは、刃物専門であって加工の専門ではないと思ったからです。

個人的には、刃物(OSG)と加工(実際現場で働いている人)など複数人の組み合わせの方がもっと面白くなると思いますしそうすれば当日に素材を、見てから作戦や加工プログラムの修正(やっていたかもしれませんが・・・)ができ、勝てる可能性がでてくると思いました。

投稿: 卒業生S.N | 2012年4月16日 (月) 22時52分

卒業生S.N さん コメントありがとう。

ここで紹介した「製造現場ドットコム」の無造作淑女さんの見解も、同じような視点ですね。機械加工をしている現場から考えると、近い視点が出てくるのですね。
ただ、金属側から見ると彼らは攻撃に耐えるいわばオフェンスですからね。攻撃側が何を用意してくるかを読まなければならないと思うのです。
一流のピッチャーとバッターの勝負のような面白さはありますね。次回はさらに盛り上がる。フジテレビは、喜んでいるでしょう。

投稿: SUBAL | 2012年4月16日 (月) 23時52分

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