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「ITC時代の技術教育」特集 『非破壊検査』vol61

JSNDI(日本非破壊検査協会)が発行する機関誌『非破壊検査』2012年5月号が届きました。毎号特集が組まれますが、今号の特集タイトルは「ITC時代の技術教育」です。

ITCって何のことだろうな、と思ったらInformation and Communication Technologyの略語で日本語では情報通信技術と訳されているそうです。巻頭言の最初は「コンピュータとインターネットなど情報通信技術(ICT)の発展には目を見張るものがあり・・・」とありますから、情報と通信はコンピュータとインターネットを想定しているようです。だったらタイトルは「コンピュータとインターネットを使う時代の技術教育」としてほしかったと思うのは、時代遅れのおじさんのたわごとかな?

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 諸外国には遅れをとりつつも機械学会や土木学会など大きな学会では後継者の育成教育に目をむけ取り組みを開始しているという話を聞きます。日本非破壊検査協会(JSNDI)は学術機関でありながら、内部に教育機関を持ち教育活動を行っているユニークな組織です。ただ、わたしの見るところでは、この2つが有機的に連携しているとはとてもいえません。学術側が教育に目を向けるということはほとんどないといえます。わたしの記憶では、わたしが見た30年間の機関誌「非破壊検査」で毎号特集が組まれてきましたが、教育が取り上げられたのはこれが2回目だと思います(見落としがあるかもしれません)。その意味では画期的だと思います。

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 「教育の本質はFace to Faceだ。コンピューターに頼る教育は邪道だ」などという人が時々います。「頼る」という用語を使うことで全否定するわけです。PPT(パワーポイント)を使うことすら否定する。でも、わたしの見るところそういう人のほとんどは確かにFace to Faceではあるけれど学び手とはかみ合っていない、機械で置き換えたほうがよっぽど学習者は育つと思える教育しかしていないほうが多いように見えます。
 印刷技術が発達していない時代には、教科書をひたすら丸写しをすることが教育の大半であった時代がありました。わたしは、教科書を自分の手で丸写しすることの学習効果は大きいと実は思っています。でもだからといって「教科書を丸写しすることをしない教育は邪道だ」と主張する気はありません(笑)。教育のツールなんて何でもあり、便利なものは使えばいい。でもツールが教育するわけではない。
 今回の特集ですが、わたしにとっては正直目新しいものはありませんでした。

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 ちょっと残念なのは、この特集の中で今行われている非破壊検査教育にはまったく目が向いていないことです。執筆人の中に非破壊検査教育の実践を行っている人はいませんし、外部の有識者が現実の非破壊検査教育を調査したふうでもありません。「外」からの刺激ももちろん必要で、有効な場合も多くあります。でも、

  • アニメーションを使った教材
  • パソコンでインタラクティブな仕組みを使って教える教材
  • VR(Virtual Reality)を使った技術技能教育 

 これらは、超音波探傷教育のなかですでに12年以上前から行われているのです。いわゆるITに関連する分野ではなく、泥臭く油くさい技術分野での取り組みとしては相当程度先進的だったと思います。ささやかな試みでしたし、新しい取り組みにはつきもの限界が見えてきたこともあります。

 いや、あの、その、この、わたしが中心になってやったことなので日本人的な謙遜の精神からは言うのがはばかれるのですが、あえて言います。「実際」というフィールドに目を向け足を置いて考察をすることが、工学の大前提だと思います。でもこの特集をきっかけに、技術技能教育に目が向くことを期待します。

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