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宙に浮いた心柱 日光東照宮五重塔

 5月24日(木)JSNDIの表彰式の翌日、日光東照宮に行ってきました。目的は、今回初めて一般公開される五重塔の心柱を見るためです。 

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 前日近くのホテルに宿泊して、朝一番に行きました。まだほとんど人が来ていません。

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 正面から見て左側です。どうやら紅白幕のところ(正面から見て裏側)から中が見えるようです。

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 中に金色に輝く仏像と心柱が見えるのですが、「内部撮影禁止」の札があります。やむなく外部から撮影。一階の床があり、心柱が浮いているところは確認できません。なんだよ、これだけかい!・・・と思ったのは早とちりでした。 正面から見て右側の床下がのぞけるようになっているのです。

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 見えます!礎石にあいた穴にダボが入っていますが、柱自体は100mm弱ぐらい浮いています。オオ!これを見たかった。肉眼では良く見えるのですが、写真に撮ると前の格子が邪魔です。見えるんだけれど、よく見えない。このじれったい感覚・・・・。

 背後から、自分に向かって声が聞こえてきます。「一歩前へ!」

手が汚れるだの、背広が汚れるだの、そんなのどうでも良いことです。前に出るのです。

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 撮れました。見たかったもの。

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 ここまで来た甲斐がありました。

 柱を浮かせたのは、それによって耐震性を向上させるということではありません。柱と周りの構造体との収縮率の違いによって一定の期間が経つと柱を切らなければ構造体を突き破ることになります。この日光の五重塔ではそのための改修を必要としない工夫として宙吊りにされたのだそうです。柱の末端を切断するだけで良い訳です。

 3.11の震災でもこの五重塔は何の損傷も受けていません。浮かせても耐震性に悪影響は出ないと判断したのですね。私は、収縮率の違いによるひずみが起きるとしたら上のほうでひずみを吸収する工夫をするというのが普通の発想だと思います。それを柱を浮かせる・・・この天地を逆転するようなアイデアは、なにかわくわくさせるものがあります。

 ここにおよそ1時間ぐらい滞在して眺めていました。もちろん法隆寺から始まる日本の五重塔の構造や、仏塔(ストゥーパ)信仰、地中から突き出る柱信仰などなど、イロイロなことが頭の中を駆け巡りました。

 想像力の翼が一番広がったのは、遠くギリシャのパルテノン神殿、その柱ドラムに開けられたダボ穴のことです。このブログをはじめた5年前に、とても興味深い議論になったあのパルテノンの柱です。柱の一単位「ドラム」に開けられたダボ穴に、日本製のチタニウム合金のダボを入れたのが失敗だったという話です。

 本当に知的興奮に満ちた楽しい一日でした。朝早い五重塔の周囲では風貌と行動からして建設現場の監督さんと設計事務所の建築士風の人と会いました。

 その後東照宮を見学してかえる際の五重塔周辺です。昼近くになっていまして、見学者の列ができていました。やっぱり落ち着いてみるには早朝だわね(*゚▽゚)ノ。

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 久しぶりにわくわくする1日でした。

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おかげさまで1位に復帰しています

追記:浮いた心柱、五重塔において心柱はどのような役割を果たしたのか、もう少し知りたい方は「五重塔の科学」(日刊工業新聞社)

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