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黒と金 日光東照宮 奥宮

 大人の修学旅行、日光東照宮見学記 その4です。

 唐門の右手から、細い石段の参道を登っていく奥宮です。その入り口には名工左甚五郎作といわれる眠り猫の木彫があります。

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うっかりすると見逃してしまうほど、さりげなく小さい猫です。

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 こういう美術品では、写真で見ていても本物を見ると「さすが本物、写真で見るのとは違うな」というものもありますが、この猫に関してはそんな感じはしませんでした。正直ちょっと期待外れ。のちの人が尾ひれをつけすぎているのじゃぁないかな。

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 ウィークデイの東照宮は、小中学生と老人の団体旅行客、そして新婚旅行と思しき若いカップルだけです。小学生たちはメモを片手に元気よく登っていき、老人たちは「足に来る」「心臓が・・・」とか言いながらゆっくり上っていきます。

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 言われなければわからない地味な贅沢です。

Dscn0745 途中にあった、家康の有名な言葉。本当に家康が言ったのだろうか。いずれにせよ、日光東照宮は、いたるところに道徳訓が配置されているお説教くさいところです。これほど道徳を強調しなければならないということは、裏を返せば人心が乱れていたということを示すのでしょう。

あともう少し。 足に来ますし、ジワリと汗をかきます。

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 石段を登りきると右に直角に曲がったところに奥宮があります。それはこれまで見てきたものとはずいぶん趣が違っていました。 

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 極彩色の華美な装飾はなく、黒を基調としたシックな色調で全体がまとめられています。全体を銅板で覆いそれに黒漆が塗られているのだそうです。黒の上に金だけで装飾されて、ほとんどモノトーンの落ち着いた雰囲気です。私にはこちらのほうが豪華に見えます。

 これを見て思い出すのは、秀吉の金の茶室です。黄金の茶室には赤い毛氈が敷いてある。金属光沢は、色でいうと白色もしくはグレー、クロムあたりではすこし青みが入ります。ところが、金では黄色からすこし赤みがかっています(こちらの記事)。スペクトルでいうと波長の長いほうの成分が多い。金に赤を配置すると、金がいっそう金らしく見えてきます。

 秀吉の金と赤の配置は、金を主役にして金を際立たせるための選択と考えれれます。それに対して、黒の中に金を配置すると金は主役ではなくなり黒を引き立たせるためのわき役に転ずる。奥宮の社殿を眺めながら、そんな感想を持ちました。

Dscn0757a 御宝蔵だそうです。

Dscn0759a_2 銅の板に黒漆を塗って、リベット止めに見えますが、和釘でしょう。ガルバニックコロージョンを起こしていないところを見ると同材質、銅製の釘と思われます。少し劣化が進んでいますが、この閂(かんぬき)も趣があります。

 実は五重塔の芯柱は閂の働きをしているのだという「心柱かんぬき説」というのがあります。昔の門や蔵には必ずかんぬきはありましたが、最近はなかなか見ることが少なくなりました。ちょうど日光東照宮の中ということもあり、資料映像として写真を撮っておきました。

 無神論者ですが、奥宮境内の樹齢600年という叶杉(かないすぎ)に参拝して、鈴を購入してきました。

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 人生には、理屈では解決できない不条理はいくつもある。無心で祈る時間を持つことも時には必要であると思うのです。

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