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鳴き龍は年齢によって聞こえ方が違う?

 大人の修学旅行 日光東照宮編 おまけの追加です。

 日光東照宮には五重塔の心柱を見に行っただけで、あとはついでに見ようとしただけなのですが、記事を書き始めると面白いことがいろいろと出てきます。

 薬師堂の鳴き龍について。鳴き龍を発生させる音源は、ごく短い音でなければなりません。長めの音であれば音が天井と床に跳ね返ってくるまで前の音が続いていて、いわば銭湯のエコーになってしまいます(今の若い人では銭湯に入ったことがない人のほうが多いのかな?)。

Nikkoudr
 パツッ!パツッ!と短い音のことをパルス音といいます。パルス(Pulse)、脈という意味です。空気中常温の音速は340m/秒ですから、往復12mの距離では0.035秒で次の音が戻ってきます。

 私が行った時もYouTubeの動画でも、お坊さん(?)は拍子木を叩いていました。高い音で周波数は2800Hz程度です。ところが小野測器のHPで公開されている復元前に録音された音はそれよりは低い音で、周波数で1200Hz程度です。

 さらに波形を見ると、現在の音はパルス音の幅が6ミリ秒程度でその中に入っている波の数は18波程度あるのに対して、復元前の音はパルス音の幅で2ミリ秒程度でその中に入っている波の数は3波程度です。復元前のほうの音のほうが短い音になっています。広い範囲の周波数成分を持っている広帯域の音になっています。

Pulse_sound

最初聴いたときに私は復元前の音の音源は拍手だろうと思っていました。ところが東大生産技術研のHPにあった論文によると、石を叩いたとのことです。

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 今日の記事の本題に入ります。(オイオイ ずいぶん長い前置ききだな)

 小野測器のサイトで、鳴き龍のメカニズムを「おとくん」と「お父さん」の会話形式で説明しています。

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おとくん 「 でも不思議なんだけど、拍子木の音がビーンって鳴るように聴こえたんだよ。カーンという感じが繰り返される音じゃなかったから、ちょっと驚いたんだ。」

お父さん 「そこが、もう一つの鳴き竜のなぞだね。音が繰り返し聞こえてエコーのようになる理屈は、さっき説明したとおりだけど、もとの音と変わった音に聴こえるには別の理由があるんだ。まず、人間は、継続時間が短い音(パチッという音:パルスという)で連続して聴こえてくる場合、1つの音と音との間隔が、50 ms (0.05 秒) より短くなると音が分離して聴こえず、1つの音として聴こえるんだ。逆に音と音の間隔が 50 ms より長くなると、分離して聴こえる。元の音波がパルスの場合はフラッターエコーといって、パタパタとした音になる。 」

おとくん 「音は、1秒間に約 340 m 進むんだよね。だから 0.05 秒ということは、2つの音が17 m 離れたところから届くと分離して聴こえるけど、それ以下だと一つの音になってしまうということなの? 」

お父さん 「 正確に言うと、おとが聴いているポイントを受音点とする。その受音点に到達する2つの音に時間差が 50 ms 、距離差にして 17 m を境に、2つに聴こえたり、一塊で聴こえたりするということなんだ。だから、日光の鳴き竜は、反射経路の長さからすれば、一つ一つの反射音は分離して聴こえてないはずだね。]

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この文章を読んで考えてしまいました。

おとくんの発問「でも不思議なんだけど、拍子木の音がビーンって鳴るように聴こえたんだよ。カーンという感じが繰り返される音じゃなかったから、ちょっと驚いたんだ。」

これって拍子木を叩いた音でもそう聞こえますかね?

私には、高い音が繰り返されていると聞こえます。「鈴が鳴るように聞こえるところから龍の鈴鳴きといわれる」という説明を高い音の繰り返し音で納得していたのです。復元前の音では、確かにやや低い音の繰り返し音の中にさらに低いビーンという音がわずかに聞こえます。

この疑問を受けてのお父さんの説明。

「人間は、継続時間が短い音(パチッという音:パルスという)で連続して聴こえてくる場合、1つの音と音との間隔が、50 ms (0.05 秒) より短くなると音が分離して聴こえず、1つの音として聴こえるんだ。」

「おとが聴いているポイントを受音点とする。その受音点に到達する2つの音に時間差が 50 ms 、距離差にして 17 m を境に、2つに聴こえたり、一塊で聴こえたりするということなんだ。だから、日光の鳴き竜は、反射経路の長さからすれば、一つ一つの反射音は分離して聴こえてないはずだね。」

日光の鳴き龍の場合、反射経路は12m(=6×2)、17mより短いだから一つ一つの反射音は分離して聞こえないはず」と「お父さん」は説明しています。

でも・・・分離して聞こえるんだよね。

「音と音との間隔が、50 ms (0.05 秒) より短くなると音が分離して聴こえない」という根拠は説明されていません。あれ?!なんか論理が倒錯していませんかね?

「音と音の間隔が50 ms (0.05 秒) 」をパルス繰り返し周波数にすると20Hzです。たぶん「お父さん」が根拠にしているのは、人間の耳に聞こえる音(可聴音)の範囲が20Hz~20000Hzであることによっているんだろうと推測します。20Hz以上になれば連続した音として聞こえるはずだ。でもこの可聴音範囲は、個人差がありだれもが20Hzを境にして急に聞こえなくなったり聞こえたりするものではありません。境界線はエイヤッ!で決めたのであって実際にはぼやっとしたもののはずです。またパルス繰り返し周波数でも同じになるということは言えるんですかね。下のほうになんだか言い訳じみた注釈がありますが、実験的事実を優先すべきではないでしょうか。

少なくとも2800Hzで、周期で35ミリ秒パルス繰り返し周波数で28.5Hzでは、ほとんどの人が分離して聞こえている。分離して聞こえるから「鈴鳴き」なんでしょう

 でもここでふと考えました。可聴音の範囲はおそらく年齢とともに狭くなっていく。少なくとも高周波のほうはそうなっています。私なんぞは1万Hzを超えたあたりで怪しくなります。「モスキート」音は聞こえないのです。周波数の低いほうでも起きているとすれば、老人ほど繰り返し周波数が高くならないと連続した音には聞こえず、高い音の繰り返しに聞こえる。言い換えれば老人ほど綺麗な鈴の龍の声が聞こえ、若者は濁った鈴の龍の声が聞こえるとなりはしませんか?

もう一つあった日光東照宮の鳴き龍の動画です。音が出せる環境なら聞いてみてください。若い方(自称でかまいません(○゚ε゚○))、リン リン リンという繰り返し音が聞こえますか?それとも低いうなり音に聞こえますか?それともそのミクッスですか?

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