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リューダース帯とツールマーク その1

 先月ある方からメールをいただきました。「試験片、要りますか?」との問い合わせでした。炭素鋼を引張試験した後の試験片のことです。通常引張試験をした後の試験片は必要なデータをとったらスクラップです。炭素鋼ですから材質的にも珍しいものではありません。

 でも、私は「いただけるのであれば、是非に」と返事を書きました。ほどなく郵送で届いた試験片を私なりに観察をしたあと、額装しました。私のコレクション入りです。

Dscn0954a
 ラベルの真ん中が間が抜けた感じですが、ここには提供者の本名が記載されていますので、ブログではあえて隠しました。

 この写真ではわかりにくいですが、試験片にはリューダース帯(Lüders Band)が肉眼で観察できるのです。

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 リューダース線(Lüders line)は、せん断応力によって材料が滑ったときにできる線で、たくさん重なった場合にはリューダース帯とも呼ばれます。引張試験をすると主応力に対して45度方向に最大のせん断応力が生じます。このため、降伏点をこえたあたりからおよそ引張力方向から45度の角度で滑って変形していきます。これが引張試験時の塑性変形です。

Dscn0930b
 光の当て方によって鮮やかに見えてきます。ここまで綺麗に見える試験片をスクラップにするなんて、もったいない。

 私の本「破壊の科学」では、ものの壊れ方を強さ(Strength)とタフさ(Toughness)をキーワードにしてガラスと金属を対比する形で紐解いています。塑性変形がタフさの源なのです。せん断応力による塑性変形は、この本にとっては肝になる重要なところで「塑性変形とせん断破壊  斜め45度の秘密」として4ページにわたって書いています。この写真があれば掲載したかったところです。

 普通にはスクラップやガラクタにしかならないものでも「SUBALなら面白がるだろう」ということに気がついて、送ってくれる友人の存在はうれしいものです。

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