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ケミカルアンカーとパンドラの箱

 昨日も今日も北海道は大荒れの天気です。電柱が倒れたり、屋根が飛んだりしています。私の家も少しですが風で揺れていました。

 中央高速道笹子トンネルの天井崩落事故、少しずつ事態が明らかになってきています。

 私が懸念した腐食はここでは原因ではないようです。アンカーボルトはすっぽりと抜けている。

 このアンカー、コンクリートを打ってから後で穴をあけてボルトを埋め込むタイプの「あと施工アンカー」と呼ばれるもので、その中でも接着剤でボルトとコンクリートを接合させる通称ケミカルアンカーだったようです。

(社)日本建築あと施工アンカー協会のHPに施工方法が掲載されています。下の図は、日本建築あと施工アンカー協会の解説HPから引用しました。

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 あと施工アンカー・ケミカルアンカーの法的な位置づけは知りませんでしたが、こちらのHPによると、「建築物の基礎や主要構造部に原則的には使用できない。既存を補強する目的のみ」に使用が許されている。

 それが抜けたらそれだけで走行車両の上に1トンを超えるコンクリート板が落下する吊り部材の接合に使用が許されているのですね。

 正しく施工された場合には一定の強度は確認されているようです。ただ化成品である接着剤の経年劣化はどの程度確認されているのですかね。ネットで検索した程度では、出てきませんでした。

 まして、打音検査で接着剤の強度劣化の程度がわかるなんて、とても考えられません。複合材(FRP)の勉強をしているときに、あるメーカーのプレゼンでFRPの問題点として何点かあげられた中に接着剤の問題がありました。

 「接着剤の強度低下を非破壊的に測定できる技術を開発できたら、おそらく億万長者になれる」とそのプレゼンでは言われていました。

 なれるものなら億万長者になりたいですからね(笑)、一瞬考えましたよ。実証実験設備もないし、仮にあっても経年劣化の実証には長い時間がかかりますから、15秒であきらめました。貧乏エンジニアが似合っている。

 その検査が打音検査でやられるようです。打音検査でまさかの億万長者。そんなわけないと思います。むしろ叩くことによって衝撃力を加えますから、劣化を促進する要因になりませんかね。

 他のトンネルの検査では、腐食や吊り部材の破断(おそらく疲労破壊でしょう)も発見されたようです。

 ことはトンネルだけではないのですね。60年代~70年代にかけて作られた道路や橋等のインフラ設備が耐用年数がすぎて老朽化による事故発生が懸念されてきていたのです。建て替えるだけのお金がないのなら、劣化診断技術を確立して、危ないものとまだ使えるものを峻別し、危ないものから撤去や補強を実施しなければならないのです。「破壊の科学」にも少し書いた木曽川鉄橋の破断事故(この場合は人的な被害はなかった)等、前兆現象はすでにあったのです。

 笹子トンネルの事故は『パンドラの箱』を開けたと歴史には刻まれることになりそうです。

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» ボルト抜けの原因が気になって [袖ケ浦在住非破壊検査屋]
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