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鉄筋コンクリートの発明者は誰?『建築史的モンダイ』

 悪天候が続いていましたので、外出を控えて家の中で仕事をしていました。何冊かの本も読みました。中でも面白かったのが、これ。

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藤森昭信著『建築史的モンダイ』 (ちくま新書)。建築史に関連したエッセイです。歴史が面白いのは、見方とか視点。これで同じ事実がガラッと違って見えてくるからです。

 ちなみにNHK大河ドラマ『平清盛』が不評のようですが、わたしも我慢して何度か見たけれど、本当にイライラするほどつまらない。だって1回の放送中に何回出てきますかね「武士の世を作る」というセリフ。これは、「すでに分かっている答(平氏の滅亡⇒鎌倉幕府成立)から問題を解く」ツマラナイ学校のお勉強のやり方そのものです。夫の浮気か遺産相続が殺人動機の安手のサスペンスドラマ以下だと言わざるを得ません。

 この本は、建築史に筆者独自の視点でスポットライトを当てて、「へーなるほど」と思わせてくれます。しかもほとんど専門用語を使わずに。

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 私が、一番面白かったのは、有名な建築家安藤忠雄の評価なんですが、ここではその内容を書かないでおきます。

 2番目に面白かったのは、鉄筋コンクリートをだれが発明したかという話。圧縮力には強いが引張力がかかると簡単に割れてしまうコンクリートと、引張力には粘り強いけれど圧縮力がかかると簡単に座屈してしまう鉄筋、この2つを組み合わせた複合材料である鉄筋コンクリートは土木分野に限らず建築材料としては、いまや鉄骨と並んで主流と言ってよいでしょう。

 この鉄筋コンクリートの発明者は、フランス人で植木職人のジョセフ・モニエという人とのことです。高価な陶器製の植木鉢の代わりに安く手軽に作れるセメントの植木鉢を使っていたが、ともかく割れやすい。ひびが入ったり割れたりしたセメントの鉢を鉄製のワーヤーを巻いて補強していたそうです。1849年のある日、ワインを飲んで酔っ払った頭の中にひらめいた。「セメントの中に初めからワイヤーを入れておけばよいのではないか」と。

 1849年と言えば19世紀の半ば、欧州では『産業革命』の真っ最中です。富めるものと貧しいものの対立も激しくなってきていた。カール・マルクスの「共産党宣言」が1848年。

 橋でいえば、トラス橋が生まれて特許出願競争が起きていたころです。ハウトラスの特許出願が1840年。プラットトラスは1844年。製鉄業の発展とともに、建築材料としての鉄骨の利用が進んできたころです。煉瓦から、鉄筋コンクリートと鉄骨の時代へ。

 プロの建築家も建築の研究者もたくさんいたのだろうけれど、植木屋の親父のアイデアが、その後の建築材料の主流になっていく、いろいろ問題はあるにせよ活気に満ちた時代だったのですね。

 日本の高度成長期にどんどん建設された鉄筋コンクリートと鉄骨の構造物、半世紀の時が流れて老朽化して、腕の良い医者と的確な検査機器と葬儀屋さんが必要な時代になっています。という話はひとまずおいておいたとして…。

 久しぶりに面白い本でした。一気に読んでしまいました。

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