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材料と工作 「ほこ×たて」金属対ドリル 第6弾

 見ましたか?昨日のフジテレビ「ほこ×たて」。
 金属対ドリルの戦いはすごかったですね。
 NACHIブランドの不二越が、技術開発力の総力をあげて研究開発して作り上げたドリルに日本タングステン(ニッタン)側も前回を上回る材料(「NWSΩtypeⅡ」)を開発して勝負に挑みました。
 工具+工作方法の技術と材料開発が、技術の粋を集めて勝負したわけです。
 結果は、材料の側が工具を削る、といういわば返り討ちという形で、ニッタンが勝利しました。

 詳しいレポートが、「製造現場ドットコム」のサイトに掲載されています。勉強になります。
 前回と同じ材料であれば、穴をあけられると考えたニッタン側は、さらに硬い材料を作ってきました。HV(ビッカース硬さ)2190、聞いたことがない。文字通り桁違いです。

 ただ、硬さを上げるとどうしても付いてくる脆さ、この矛盾を端的に示したのが、昨年11月の第4回の対決でした。材料側が割れておしまい。

 そこで、ニッタン側が第5回で立てた作戦が粘り強い(割れにくい=靭性の高い)ステンレスで囲むという割れ防止策でした。いわば複合材。

 今回も、囲んでありましたね。ただ、前回よりもメインの「NWSΩtypeⅡ」が直径の小さな円柱になっており、囲んでいる金属の方が多いという構成になっていました。周りを囲んでいる金属は前回のステンレスから超硬合金に変わっていたとのことです。熱膨張を押さえ込むことで硬さの確保を考えたとのこと・・・・。超硬いがもろく割れやすいタフさに欠けるエリート金属を、普通のタフガイ兵隊ががっちりガードしているという構図です。

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 不二越の堀氏「優秀な材料で今後航空宇宙分野で活用されるかもしれない。しかし穴があけるあけられなければ、使い道はない。だから必ず開ける」と言っていました。これが、今回の挑戦の動機になったようですが、この発言で、バラエティ番組が一気に技術開発の先端に触れる番組にグレードアップした瞬間に見えました。(この対決自体がその様相を含んでいましたが・・・)

 ドリルを交換すれば穴はあく、というのはこの対決で見えたもうひとつの事実ではありますが、20mmの厚さを1本のドリルで穴をあける・・・この単純明快なレギュレーションが技術者の魂に火をつけて勝負を熱くしていると言えるでしょう。

 それにしても、不二越の技術力もすごいと思うけれど、ニッタン側の開発力も驚くばかりです。通常新しい材料はそうそう簡単に短時間にできるものではありません。ニッタンの超高合金は粉末冶金のようです。配合元素から熱処理に至るまで、パラメータは沢山有り組み合わせは膨大にあるはずです。たいてい、ある特性を良くすれば別の欠点が出てくる、という二律背反=矛盾が出てくるはずです。多分シミュレーション技術も使われていると思います。

 材料開発という本当に地味な分野に光を当てた番組になったと思います。不二越の堀氏、ニッタンの中川内氏と、それを支えたスタッフに最大限の敬意を表します。

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コメント

明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。

番組見ました。
凄かったですよね。
ほんと、ニッタンはずっと勝利を守ってますがこれって凄いことですよね。
必ず何かを改善するとどこかで落とし穴にはまっている、こんなパターンが私の人生の経験ではほとんどですが、よく設計され、制御されてますよね。何かちょっと彼は痩せた?とかも思いました。

投稿: ニコニコ | 2013年1月 3日 (木) 18時41分

ニコニコ さん

今年の初コメント、ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。
いやいや、本当に予想以上にすごいことになっていました。
不二越側の研究開発も、前回の材料だったら軽く穴が開くドリルを開発したのに、ニッタン側がそれを上回るものを作ってきたわけですからね。割れない(靱性)工夫も、えっと驚くアイデアですしね。切磋琢磨というのはこういうのをいうのでしょうね。

投稿: SUBAL | 2013年1月 3日 (木) 19時16分

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