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NHK MEGAQUAKEⅢ 映像の説得力

 昨晩、NHKスペシャル『MEGAQUAKEⅢ 巨大地震 第2回 揺れが止まらない~"長時間地震動"の衝撃~』を見ました。

 さすがにNHK、3.11東日本大震災時の映像、コンピュータシミュレーション結果のCG化、いくつかの実験とその画像などなど・・・どれも思わず身を乗り出してしまうほどの迫力で、『長時間地震動』の脅威を描き出していました。

 仙台市青葉山にある東北大学の校舎ビルのダメージ、山の斜面にあった宅地の地盤崩壊による被害、東京や大阪の高層ビルでの大きな揺れを例として挙げていました。

 そしてそれらを引き起こしているものとして、複数の『強震動生成域』から時間差を持って強い地震が発生したことが挙げられていました。

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 なるほど、このあたりのCGは説得力があります。

 でも、終わってみるとなんかしっくりこない。

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 全てを地震が長く続いたから・・・ということでひとくくりにしてよいのだろうか?たとえば、東北大学の校舎の問題。あの校舎自体の構造上の問題はないのだろうか。長時間続いた地震動が問題であれば、あの校舎周辺の建物は軒並み同じような被害をこうむったのだろうか。

シミュレーション結果では、柱の根元部が壊れていました。

Img_1696

 実は、3.11の震災では数百年に一度という巨大地震の割には建物の被害は少なかったという報告もあるのです。津波の被害はとんでもなく甚大でしたから、イメージを重ねがちになります。

 東京や大阪の高層ビルが大きく揺れた問題は、長周期地震動の影響でした。私の認識では、長周期の地震動が長く続くという意味で「長周期・長時間地震」とペアで問題にされる場合が多いように思います。巨大地震では、長周期の地震動が長く続き超高層ビルに深刻なダメージを与える可能性があります。たとえばこちらの「長周期・長時間地震動の生成と長周期建築構造物の応答」。

 今回のNスぺでは長周期地震動という用語は出てきませんでした。「長時間地震動」でいくつかの現象を無理やりひとくくりにしてしまったという印象を受けるのです。以前にテクノクライシスの時に感じた危うさを、今回も感じたというと言い過ぎでしょうか。

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コメント

さすが谷村先生,鋭いですね。私も同感です。

投稿: 市之瀬敏勝 | 2013年4月15日 (月) 16時51分

市之瀬 先生

 先生もそう思われましたか。この番組は“長く揺れたなぁ・・・”という感覚的な印象の延長で、『長時間地震動』というキーワードで事象をくくると決めた時点で、本筋を外してしまったという気がします。残念です。
 東北大学の校舎ビルの問題、大規模な地滑りの問題、大都市圏での長周期地震動、それぞれをきちんと掘り下げて報道してほしいです。

投稿: SUBAL | 2013年4月15日 (月) 17時46分

お久しぶりです、「巨大地震の割には建物の被害は少なかった」ということについてコメントします。
主にS造(鉄骨造)についてですが、阪神淡路大震災で現地で調査した大きな損傷があったS造の建物は完全溶込み溶接にすべきところをすみ肉溶接・部分溶込み溶接で施工したものでした。
一方、3・11を受けた仙台のS造の建物は完全溶込み溶接はきちんと完全溶込み溶接になっていました。
私が鉄骨の溶接部検査を始めた35年以上前から阪神大震災ぐらいまで、東北で検査を行っていると図面の指示通り溶接施工が行われていましたが(ただし、昔は技術的な問題で現在ほど高い品質ではありませんでしたが)、関西方面に行くと図面で完全溶込み溶接が指定されているにかかわらずすみ肉溶接や部分溶込み溶接で施工して「長年このように作っていて何問題がないのになんでそんなうるさい事をいうの」と言われることが何度もありました。(当然、完全溶込み溶接になるようにガウジングを行い再溶接を実施してもらいました。また、関西方面の鉄骨製作会社がすべてそうだった訳ではありませんし、良い製品を作る鉄骨製作会社もありました。)
つまり、東北では図面に忠実に鉄骨を製作していたことで建物が大きな損傷を受けなかったと思いますし、自分たちの仕事(鉄骨溶接部の検査)が社会の安全・安心に貢献したと思っています。
(ただ、設計の問題、地震波や地盤の問題を無視する訳ではありませんが。)
東京の超高層の建物に関して、多くは製作時に鉄骨溶接部の検査(社内検査、受入れ検査)をきちんと行っている上に、完成してから年数のたっているものは既存建物の現地調査(目視、超音波探傷試験、その他)を行って、現状の耐震基準に適合するように改修が行われています。(余談ですが東京の高層、超高層の鉄骨はかなり東北で作られています。)
新宿の超高層ビル(S造)が長周期地震動の例として映像が紹介されています、新宿の超高層ビルは比較的古い時代に作られていますので、近年のトレンドの制振(制震)、免震装置がないものが多いため、かなり大きく揺れていますが、地震後の建物自体の構造的な安全性は問題がないようです。
関東地方で見た3・11を受けたS造の建物で地震後の調査で問題が見られた建物は比較的高くない建物で、そのような建物では継手部近傍の鋼材が降伏したもの(面外変形や塗装のはく離が確認された)が一部見られました。(とくに耐震性を高めるブレース)
ただ、これらは施工自体はほぼ図面通りに行われており、ときどき見られるゼネコン=手抜きという図式化されたものは大違いでした。

投稿: ikegaya | 2013年4月16日 (火) 11時36分

ikegaya さん

貴重な興味深いコメントありがとうございました。
そうですか。東北人の生真面目さが効いている場面のありそうですね。
わたしも、数々の地震の経験を経て耐震基準が見直され、耐震補強がなされていっていることが機能している側面があるのだろうとにらんでいます。そういう事実とともに、耐震補強がなされたにも関わらず大きなダメージになった東北大学の校舎のような事例を冷静に分析して解決されていない問題点を浮き彫りにしていく、そういう落ち着いた番組をみたいな、と思います。

投稿: SUBAL | 2013年4月16日 (火) 11時48分

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