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映画『風立ちぬ』 計算尺とエロース

 昨日、映画『風立ちぬ』を再び見てきました。美しい映画だからもう一度見たかった、ということもあるのですが、いくつか確認したいことが有ったのです。

 その一つが計算尺に関することです。この映画の中では、堀越二郎が計算尺を使って計算するシーンが何度も出てきます。計算の中身のようなものが出てくるのは、サバの骨の「かたち」がNACA(National Advisory Committee for Aeronautics)の翼型の中にあることを示す場面で、「美」と力学的合理性との関連を印象付けています。

 ひたすら計算をしていくのですが、計算ツールとしての計算尺も一度だけ詳細な目盛まで描写した場面が出てきます。私は、計算尺は美しいと思います。

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 この計算尺は、鉱山技師であった義父から譲り受けたものです。

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 HENMIの竹製計算尺です。

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 計算尺が映画の中で最初に登場したのはいつだったのか、確認したいことのひとつでした。やはりあの場面でした。

 後に妻となる里見菜緒子と女中に上京する列車の中で会い、関東大震災に遭遇します。列車から飛び降りる際に女中が骨を折り、二郎はカバンの中から計算尺を取り出して、折れた下肢の添え木として使うシーンです。

 今回確認しましたが、このシーンで二郎はほかに添え木となるようなたとえば木端などを探すそぶりは見せず、迷わずカバンの中から計算尺を取り出しています。

 今回の『風立ちぬ』では、美しいこととエロス(Έρως:Eros)がいたるところに出てきますが、私はこのシーンが一番印象的でした。

 堀越二郎は操縦系統のワイヤーと機体構造の剛性については長く研究をしていたはずですし、その一端は隼の取り付け金具のところでちょっと出てきます。人間の骨と筋肉についても勉強していたに違いありません。若く健康な女性の脚の柔らかな曲線に魅かれたとしても不思議ではありません。

 もちろん、結核で早逝する妻菜緒子という存在自体がフィクションですから、この逸話の真偽を問うこと自体が無意味で、宮崎駿のエロス表現と見るべきでしょう。

 少年の夢と、美の背後には死の影があり、そこに痺れるようなエロスがある、『風立ちぬ』を見た、私の印象です。宮崎駿の作ってきたアニメとしては、異色なのでしょう。

 ただ、菜緒子はほんの数カットを除いて妖艶な美しさではなく、童顔の少女顔に描かれています。

Wind5

スタジオ・ジブリの作品なのでしょうね。

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久しぶりにギリギリ1位です

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