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映画『風立ちぬ』 五重塔と航空写真

 宮崎駿監督映画『風立ちぬ』は2回見に行きました。2回見たのは、美しい映画でもう一度見たかったという理由の他にいくつか確認したいことがあったためでした。その一つは飛行機の設計技術者にとって欠かせないツールである計算尺が最初に登場したのはいつだったか、ということでした。こちらの記事

 もうひとつは、関東大震災後の焼け野原のシーンがあるのですが、その時の空に飛行機が飛んでいたか、はっきりした記憶が残っていなかったからです。

 ちらっとですが、ありました。複葉機が飛んでいました。さすがに時代考証はきちんとしています。

 関東大震災では、その被害状況が写真で残されています。航空写真もいくつか撮影されています。その中に、浅草付近を撮影した写真があって、複葉機の翼越しに浅草寺あたりが写っていて、一面焼け野原になっている中に五重塔が立っているのが見えるのがあります。

 この写真、国立科学博物館が所蔵しています。お借りして、「五重塔の科学」に掲載させてもらいました。

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 映画『風立ちぬ』の主人公堀越二郎は、東京帝国大学航空研究所に所属していました。震災前まで、航空研究所は東京深川の越中島にありました。震災で被害を受けて駒場に移転して、戦後現在の東京大学先端科学技術研究センターになっていきます。

『風立ちぬ』の中で、震災後何年か経過したあとという設定だと思いますが、堀越二郎の下宿を妹が訪ねてくるシーンがあります。この妹を送っていくときに一銭蒸気船に乗って川を上って行きます。 

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 どう考えても隅田川です。深川越中島(門前仲町)あたりから、浅草方面に向かったと推察しました。航空研究所は駒場に移ったのでは?という疑問もあるのですが、細かいことは分かりません。「東京もずいぶん復興したのね」という会話が交わされます。

 隅田川にかかる橋、震災後に新築されていてまるで鋼橋のデザイン見本みたいで面白いのです。ブリッジコンテストをやっていたころ何度も見に行きました。震災復興の活力のようなものがあったのでしょう。

 この船を降りるあたりのところで、進行方向右側に五重塔が見えるんですね。宮崎駿、やるなさすがだな、と思いました。当時は川からも五重塔が見えたのだと思います。復興のシンボルだったのかもしれない、遠くから見えるという意味では、東京タワーやスカイツリーのようなものでもあったのでしょう。

 うっかりすると見逃してしまうような、映画のストーリーの中ではそれが描かれてあっても無くてもいいようなところに細かい配慮がなされている作品であることが、良くわかります。

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コメント

わはははは。さすが先生。
やはり劇場で1回見ただけでは宮崎駿にヤラれると思っておったとこで、DVDが出たら購入予定っす。

投稿: 誰やねんっ20号! | 2014年1月10日 (金) 09時59分

誰やねんっ20号!さん

 そうなんですよ。貧乏エンジニアの私もDVDを購入するために小遣を節約しなければなりません(笑)。
 隅田川のこのシーン、ストリー展開の中では少し無理やり感があります。宮崎駿は入れたかったんだろうな。でもTV放映の時は、カットされそうだという予感がしています。

投稿: SUBAL | 2014年1月10日 (金) 10時16分

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