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アイオア州立大学とUnited Airlines 232便事故

 United Airlines 232便の事故から25年の月日が流れているけれども、この事故の経験を生かす研究が今も続いている、という話を書きました。

 この研究を破壊力学の観点からリードしたのは、SwRI(Southwest Research Institute)であり、非破壊検査技術でリードしたのがアイオア州立大学 (Iowa State University)です。

United Airlines 232便が強行着陸したスーシティー空港はアイオア州にあります。United Airlines 232便が第2エンジンファンディスク破壊後迷走した飛行経路(NTSB事故報告書より)をスーシティー空港とアイオア州立大学が記載されている地図に重ねてみました。

Siouxcityiowauni

 画像左側にある黒い点線がUA232の飛行経路です。スーシティー空港とアイオア州立大学は直線距離でおよそ200km、この距離を近いとみるか遠いとみるかは人によって違うでしょう。私は近いなという印象です。

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 アイオア州立大学(ISU)には1985年に非破壊評価センターが設立されて30名の研究者がいるようです。

 1980年台というのは、民間航空機に損傷許容設計の考え方が取り入れられて、さらに経年航空機のメンテナンスにも適用が拡大されつつあった時期です。(1985年と言えば、JAL123便が御巣鷹山に落ちた年です)

 非破壊評価センター設立から4年後に起きたUA232便の事故。この生々しい現実にISUの非破壊評価センターは、FAAの後押しを受けながらエンジンメーカーと協力して研究を進めていきました。

 非破壊検査センターのHPに掲載されている研究実績の中で、UA232便の事故を契機に始まった研究に関して、次のように記載されています。

FAA (1990 – present):  inspection methods for aging aircraft including crack detection, composite damage assessment, and fundamental studies of methods such as fluorescent penetrant, magnetic particle, and ultrasonics.  Consortium efforts focused on jet engine inspection were completed with GE, Pratt & Whitney, Honeywell, and Rolls Royce as partners.

 1990年から現在も続いているとしています。

 破壊力学の研究機関や民間のエンジンメーカーと協力して、損傷許容設計の落とし穴になった事故に立ち向かって、これほどしつこく研究を行っているとは…。

 日本にも優秀な研究者はいます。けれども私が見る限り、各大学や研究機関に固有名詞で点として存在していて、生々しい事故の現実に組織的に立ち向かう姿勢は希薄なような気がします。

 アイオア州立大学は非破壊検査教育にも力を入れていています(こちら)。非破壊検査に関する教科書をWEB上に公開するプロジェクトに主導的な役割を果たしています。ほとんどもうテキスト本ですよね。この日本語版があれば、私の『非破壊検査 基礎のきそ』は売れないかもしれません(;;;´Д`)。 

Ndtresourcecenter

 ときに米国の超音波探傷の専門家と称する人から唖然とするような内容のメールが来たりしますから、米国がすべて良いとは言いませんが、ISUの取り組みは尊敬に値します。

 40歳若ければ、しゃにむにでもISUに留学したいなぁ…なんて、田舎の貧乏老エンジニアは青空を仰ぐのでした。

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