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123便墜落事故 『空白の16時間』 NHKスペシャル

 昨晩放映されたNHKスペシャル『日航ジャンボ機事故 空白の16時間~"墜落の夜"30年目の真実~』は久しぶりに見ごたえのある番組でした。

 1985年8月12日に起きた「ボーイング747御巣鷹山墜落事故」では、墜落(8月12日18時56分)から、翌12日11時生存者確認まで16時間を要しています。この時間を『空白の16時間』として、事故現場特定⇒生存者確認がなぜ遅れたのかを取材した番組でした。

 番組を見た印象は、手間暇をかけた丁寧な取材をしているなという感じでした。

 夜のとばりが下りるころの事故であり、場所は奥深い山の中でした。場所の特定は簡単ではないことは容易に想像つきます。逆の見方をすれば、市街地や住宅街でなかったのは不幸中の幸いともいえます。

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 番組は、早いうちに墜落場所を特定できた可能性のあった情報を3つ上げています。

  1.  群馬県の山間に住む女性の目撃情報。直後の情報で警察にも通報している。情報の精度は高かった。
  2.  自衛隊救難ヘリが、20時42分に現場上空に到着 墜落現場を確認。この時のTACAN(戦術航法装置)の情報は、墜落現場をほぼ示していた。
  3.  深夜再び自衛隊のヘリと地上の長野県警のパトカーによる相互目視による位置確認。ヘリ側はパトカーの灯りを誤認したが、パトカー側の情報はほぼ正確であった。

 正しい情報があった半面、誤った情報たくさんあり、その中で「長野県御座山北斜面」という情報が有力とされて、捜索隊はそちらに向けられました。

 当時私もニュース映像を固唾をのんでみていました。様々な情報が飛び交っていたことは容易に想像できます。その中で錯誤の情報があることも当然でしょう。

 混沌として雑多な情報の中から取捨選択して有意な情報を抽出して、未だ見えぬ現実を想定する、これがインテリジェンスというものでしょう。

 私としてはなぜTACANの情報が簡単に投げ捨てられたか、番組中では「誤差が大きい」と言われていましたが、御巣鷹山と御座山を間違うほどの誤差が、TACAN運用中にその当時もあったのか疑問です。

 非破壊検査は、目に見えないきずを間接的な情報から見つけ出し評価していく技術です。きず由来の信号(Signal)の他にきず以外に由来する妨害信号(Noise)が現れます。SignalとNoiseを峻別することこそ、非破壊検査技術の肝だと考えています。その意味でも考えさせられました。

 番組の中で、当時の事故調査報告書にはこの空白の16時間について何もふれられていないことが紹介されていました。とても残念なことです。

 この件に関しては、いろいろな憶測が流れています。まずは事実関係に踏まえて、情報をいかに取捨選択して整理して「見えないものを診る」のか、そんな研究が今からでもされることを願いたい。

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コメント

谷村先生:
飯嶋です。ご無沙汰しています。そしてお暑うございます。
「日航機事故 空白の16時間」は私も見ました。しかし、私は少し物足りない内容だなと感じました。
「日航機事故」を扱った小説、ドラマ、映画は数多くありますが、個人的には「クライマーズハイ」に並ぶものは無いと思っています。この小説?は、硬派の警察小説や社会派ミステリーの分野で当代一の横山秀夫さんが、上毛新聞記者時代に遭遇した御巣鷹山日航機墜落事故取材の体験を、本格長編小説にまとめ上げたものです。常に新しい手法を模索し手抜きを知らない横山秀夫の、会心の力作です(すでに文庫本になっています)。
事故機発見までの経緯、現場が長野側か群馬側か、携帯の無い時代に記者が現場雑感をどのような手段でデスクに
伝えたのか・・・そして事故原因のスクープを掴んだのにもかかわらず、なぜ上毛新聞は紙面に載せられなかったのか、などがノンフィクションのようにグイグイ伝わってきます。
(もし谷村先生が既に読んでおられたらスイマセン)

投稿: | 2015年8月 5日 (水) 16時09分

飯嶋さん コメントありがとうございます。
「クライマーズハイ」は本も読みました。TVドラマになったものを見ました。123便に関連したものの中では、おっしゃる通りNo1でしょう。私からするとNo1が新聞記者の話というのが歯がゆいのです。米国でしたら困難な状況に立ち向かう航空エンジニアのドラマが作られたはずです。
123便の事故関連では、この空白16時間が今まで曖昧なままでした。今回の番組は資料を丹念に当たり当事者を探し出し、直接インタビューを試みているところに好感を持ちました。確かに突っ込み不足は否めませんが、知識と哲学のない下手な突っ込みはないほうが良いと思いました。

投稿: SUBAL | 2015年8月 5日 (水) 18時18分

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