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本多光太郎と非破壊検査

私の非破壊検査にかかわる友人の一人が、非破壊検査の黎明期の文献を集めて研究しています。

その彼が先日見せてくれた本が、こちら。

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橋本宇一著「機械材料とその検出」(太陽閣刊 昭和11年(1936年))です。各種材料に生ずる欠陥、強度試験から硬さ試験までの材料試験方法、破面観察の方法と破面の特徴などとともに、非破壊試験方法としてX線やガンマ線を使う方法、磁気を使う方法、液体を使う方法が紹介されています。

おそらく、日本で初めて出版された非破壊検査に関する本ではないかと思います。

ともすれば細分化された傷を検出する手法に限定されがちになっている最近の非破壊検査に研究に比べて、「非破壊検査が向き合っているきずそのものとそれを検出する方法」といったところが明瞭になっていて、興味深いです。

著者の橋本宇一は、橋本龍太郎元首相・橋本大二郎元高知県知事の伯父さんにあたる人だということで、「へー」という感じです。

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その本に本多光太郎が序文を寄せています。

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本邦における金属材料の研究は、最近著しい進歩をなし、諸外国の域を摩する状態となり、幾多優秀な新材料が発明されている。しかるに従来材料の製造及び使用行程中に生ずる諸種の欠陥に就いては、あまり考慮が払われない状態にあったが、橋本君は昭和4年欧米留学より帰朝以来、講演あるいは論文によってこの問題の必要なことを縷々力説されている。

 本書は金属材料の欠陥の種類、成因及びその検出方法について、物理的、化学的及び機械的立場より詳細に述べ、最新の方法も取り入れ、かつ巻尾には30余種の欠陥の原因探究に対する実例を挙げている。最近航空機、兵器等の著しい発達に伴って、漸くこの種の問題の必要が議論されつつあるときに当たり、本書の上梓を見たるは、真に時宜に適している。本書が本邦工業家及び技術者に取って緊要なる参考書たるは余の信じて疑いはない。

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金属材料にかかわり勉強した人で、本多光太郎の名を知らない人はいないでしょう。KS鋼を発明した人として、世界中で知られています。東北大学教授として、また金属材料研究所・理化学研究所の創設者として、日本の材料工学の礎を築いた人と言って良いでしょう。

そんな本多光太郎博士が、昭和初期という早い時期から、たとえ優秀な材料を発明し製造したとしても欠陥があると元も子もなくなること、それを防ぐための非破壊検査の必要性に深く関心を寄せていたことの、この本は証拠でもあります。

古きを尋ねて新しきを知る、友人の試みを応援したいと思います。

ちなみに、現在私は本多光太郎博士が大きな足跡を残した仙台で、非破壊検査技術を教える仕事をしています。

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