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かたちのココロ10周年 ベストソフトウエア

ブログ『かたちのココロ』10周年を記念して、企画記事です。この10年私の勉強ノートとして、教育ツールとして、単純に面白いからとの理由でたくさんのソフトウエアを作ってきました。そのうちのほとんどをこのブログ内で無料フリーソフトとして公開しています。

そのうち私が考える傑作ベスト3を発表します。完全に我田引水ですが、まぁ笑って許してください。

まず3位から。

< 第3位> 応力拡大係数と破壊靭性値を理解するソフト「FractureMech」です。

きずのある部材の強度を扱う破壊力学のキー概念である応力拡大係数(Stress Intensity Factor)と破壊靭性(Fracture Toughness)を、ビジュアルかつインタラクティブに学び理解するために作ったソフトウエアです。2006年3月に公開しています。

Stress_intensity_factor

  このソフトウエアは、その後何作か続く「私の学習ノート」シリーズの先駆けとなった作品です。応力拡大係数は応力集中係数と混同され誤解される場合がありますが、このソフトウエアでイメージをつかむと、頭の中が整理されます。このソフトウエアを作ったことをベースにして2009年3月に単行本「絵とき 破壊工学 基礎のきそ」(日刊工業新聞社)を出しました。

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<第2位> 超音波ビームを表示するソフト「Ultrasonic Beam」

超音波ビームの基本要素である近距離音場・遠距離音場・近距離音場限界距離・指向角と振動子サイズおよび波長の関係をビジュアルかつインタラクティブに学ぶためのソフトウエアです。例えば「減衰の大きな材料中で超音波を遠距離に伝えるには周波数を下げることが有効であるが指向角が大きくなるために拡散損失が大きくなり振動子サイズを大きくする必要がある」とかいうような少々面倒なトレードオフの関係を頭の中で整理するための有効なツールになります。 2006年12月に公開しています。

Ultrasonic_beam

  これまで超音波を学び始めた人が、手軽に超音波ビームのパラメータを変えて表示することができる手段はありませんでした。このソフトウエアは、海外の大学の先生から使わせてほしいとの連絡があり、ネット上に公開することの面白さを実感させてくれました。

このソフトは、この10年間で幾度かの進化を遂げて、いまでは最適な探触子設計のためのツールにまでなっており、いまだに日々進化しています。

<第1位>バーチャル探傷器で超音波探傷の基礎を学ぶ「超音波探傷入門」

わたしが作ったもので、手間暇もかかったし苦労もしかつ胸を張って自慢できるソフトはやはりこれです。超音波探傷を学び始めた人が、探傷器や探触子を動かしながら勉強できるようにと考えて作りました。教育訓練にバーチャルな超音波探傷器を操作できるソフトウエアはたぶん世界的にもないはずです。

Utdg_2

超音波探傷をよく知っている方からは、表示される波形のリアルさに驚いたとの評をいただいています。このソフトウエアは、『 超音波探傷入門(パソコンによる実技演習). DL版「デジタル超音波探傷器」編』として日本非破壊検査協会(JSNDI)から販売されています。

45歳の時に初めてパソコンを購入して、独学でプログラミングの勉強を始めた時にはここまでできるようになるとは思いもよりませんでした。自分自身が「へーなるほど、こんなこともできるんだ」と驚きながら楽しみながら積み上げてきました。ブログで公開ができて、反響があることが励みになったことは間違いありません。

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現在4位です

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コメント

非常に参考になる内容でした。
ありがとうございました。

応力拡大係数と破壊靭性値のお話、応力集中係数も含め、私が実際に設計者として用いていた非常に重要な部分ですが、これほどわかりやすく示していただいたものは今まで見たことがありません。

早速先生の本も購入させていただきました。粗削りで学んだ知見を整理する意味でもきっちり勉強したいと思います。

投稿: Shuichiro Yoshida | 2016年1月 9日 (土) 12時24分

Shuichiro Yoshida さん

コメントありがとうございます。
きずを検出することを生業とする非破壊検査屋として避けて通れないと考えて破壊力学を勉強し始めたころに、破壊力学の基本的な考え方のところで頭の中の整理ができずにいました。外国(米国)で出版されたテキストを読んで、ひらめくものがあり、かつこのソフトを作ることでベースのところがすっきりしました。
日本語の文献を読むとどうも応用理学的な角度からの叙述に傾いているような気がします。そのせいかどうかはわかりませんが巷では、応力拡大係数と応力集中係数の区別がつかない方が「解説」をしている事例もありました。
応力拡大係数というのは優れて工学的な概念である、という確信のもとにあえて破壊工学を本のタイトルとしました。
私の勉強不足もあると思います。設計実務をされている方とこの領域でディスカッションができればよいなと思っています。

投稿: SUBAL | 2016年1月 9日 (土) 13時31分

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