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「航空機部品市場新規参入セミナー」参加記 その2 CFRPはみかけ美人?

 「航空機部品市場新規参入セミナー」での二人目の講演者は「三菱重工航空機技術部 主席技師 将来複合材構造技術開発統括」 阿部俊夫氏でした。

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 阿部氏は、肩書からもわかるようにMHIの現役設計技師です。技術の観点から、新規参入にとって問題になるところ、また狙いどころについてお話になりました。

 阿部氏は、機体のほとんどをCFRP(炭素繊維強化プラスチック)で作ったF2戦闘機の設計に携わり、その経験をベースにしてボーイング787の主翼をCFRPで作ることを提案しボーイング社に働きかけて実現したその中心におられたとのことでした。

 にもかかわらず、MRJでは主翼はCFRPではなく従来のアルミニウム合金を最終的には採用した、そのいきさつについて話しました。私もこの件に関しては、いくつか情報を持っていましたが、阿部氏の話は分かりやすく、わたしにとっても初見のこともありました。

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 CFRPは軽くて強い、航空機構造にとって長年大きな課題であった金属疲労のような現象は起きない、経年航空機にとって悩みの種であった腐食も起きない、いいことずくめの夢の素材と言われてきました。

 当初から言われてきたのは、積層して作るため層間剝離が起きることでした。この層間剝離の検出は超音波探傷の得意技です。20数年前、航空専門学校の教員時代に、超音波探傷教育を他に先駆けて学校に提案して立ち上げてきたのは、今後航空機の機体材料はCFRPに置き換わるという見通しがあったからです。

 現在MHIやKHIのCFRPをふくめた検査部隊には、多くの卒業生がいて頑張っています。

 層間剝離以外にも、雷・断面変化部・ボルト接合部などに問題があります。阿部氏は、そのうちのいくつかについて、説明しました。技術的問題もさることながら値段がたいそう高い。MRJの主翼にCFRPを採用しなかったのは、コストの問題だったとのことでした。

 阿部氏はCFRPのことを「みかけ美人」と表現しました。遠くから見るととんでもない美人ではあるけれど、いざ付き合ってみるとやたらお金がかかるし扱いづらい、ということでしょう。

 航空機材料としては、成熟していないことを意味しており、それは逆に考えると「成熟」させることに寄与するオンリーワンの技術を持っていれば、航空機産業へ参入機会があると言えます。MHIとしても、日本の中にそんな技術が無いのか探しているとのことでした。その一つの可能性として3DプリンタによるCFRPの製造があるというヒントも提示されていました。

 私も、現在非破壊検査のコンサル業務の中で、素材としてCFRPを対象とする案件を複数かかえています。大変勉強になりました。 

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