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大韓航空2708便エンジン火災事故は航空史に残る重大事故か?

 去る5月27日に羽田空港を離陸しようとしていた大韓航空2708便(ボーイング777型機)の右エンジンから火災が発生した事故がありました。この事故に関して、6月21日小さい扱いで運輸安全委員会の発表が掲載されていました(毎日新聞)。

 「羽田空港での大韓航空機出火事故で運輸安全委員会は20日、出火した左エンジン後部のタービンディスクと呼ばれる円盤状の金属部品が破損していたと発表した。」

 とのことです。

 じつはこのことは、当日の現場写真から予想がついていました。 

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 (朝日新聞DIGITALより

 ジェットエンジンの中で回転している部分は、エンジンの前面からファン・低圧コンプレッサ(圧縮機)・高圧コンプレッサ・高圧タービン・低圧タービンというように並んでいます。それぞれブレードと呼ばれる羽根がついています。羽根を支えている役割を果たしているのがディスクと呼ばれる円盤状の部品です。

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 じつはブレードが壊れて飛ぶことはまま起きていて。場合によってはエンジンがお釈迦になることもあります。でも双発機の場合にはエンジン1基が停止してしまっても、最寄りの空港に安全に着陸できるシステムになっています。

 エンジンの外側は、ブレードが飛んでもエンジン内部に影響をとどめて外側に出ないように強度設計がされています。

 なので、ジェットエンジン内部でブレードが飛んでエンジンが壊れてしまった飛行機にたまたま乗り合わせたとしても「機材の不具合がありましてお客様にはごたいへん迷惑をおかけいたしました」程度のアナウンスで終わってしまうケースがありうるのです。

 ただし、ディスクが破壊してしまったときにその影響をエンジン内部にとどめておく強度はほとんどのエンジンに持たされていません。

 今回の事故では、エンジンカウルを突き破っていることから、ブレードだけが飛んだ事故ではなく、場所から行ってタービンのディスクが破壊したと見ることができるのです。

 1990年代には、コンプレッサとファンのディスクが破壊する事故が起きて、死者が出ています。

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 (NTSB 事故報告書NTSB/AAR-98/01より)

 米国では、1990年代から2000年代始めにかけて膨大な費用をかけて、このディスクの破壊を防ぐための調査研究が行われました。

 運用中の民間旅客機でタービンのディスクが破壊した事故は記憶にありません。

 今回の事故は、エンジン正面から見て5時方向に破片が飛んだのが不幸中の幸いでした。こういう事故こそ、徹底的な調査がされるべきなのです。

 航空史に残る事故として教訓化されるか否かは、事故の内容・原因によってのみ決まるとは限らず、「重大」とみなすかどうかこの価値判断と責任感によって左右されることがあります。

 航空会社が韓国、事故発生場所が日本、エンジンメーカーがカナダ・・・・なんか微妙な感じがします。

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