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微分の定義と『限りなく透明に近いブルー』

 およそ50年前私は高校生でした。教師がちょっとでも隙を見せると、すかさず授業をさぼり抜け出すことを考えていたろくでもない生徒でした。その私が高校生の時、授業で感動して身につけたたった2つのことが、柔道の受け身と微積分です。

 微分の定義を示す式として高校2年生の時に習うのが,まぁこんな感じですかね。

Differential

 関数F(x)上のある点(x ,F(x))図上の赤点と、xをちょっとだけ増加させた⊿x点(x +⊿x ,F(x+⊿x))図上の緑点を結ぶと、傾きのある直線(図上の青線)が引けます。

 この⊿xをどんどん小さくしていく、どんどん小さくして行ってゼロに近づける・・・。これがlim(⊿x→0)の意味、限りなくゼロに近づけるということです。そうすると、斜めの直線は点(x ,F(x))図上の赤点における接線(赤線)になります。

 元の関数y=F(x)の各点における接線の傾き(増加率)の関数を求めるのが、微分(Differential)。

 ここまではたいていの教科書に書いてあるのですが、「限りなくゼロに近づけるけどゼロにはしない」ここがミソなんだと高校時代の佐藤忠行先生(通称丸忠)は教えてくれました。

 限りなくゼロに近いけれどゼロではない点・・・これは図示することが不可能です。頭の中に論理として想像するしかありません。おもしろいなぁ・・と思いましたね。

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 なぜゼロではいけないのかというと、定義式の右辺では⊿xで割り算をしていますね。⊿xがゼロでは割り算は成立しないのです。ここでは詳しくは書きませんが、定義式から導関数を求めていくときに、最初は「⊿xよお前はゼロではないからな」と言い聞かせておいて計算を進めて、最後の最後に「⊿xよお前は限りなくゼロに近いのだからゼロとみなせる、だから消えろよ!」と消してしまう・・・。いいように使われて最後に消される⊿x,だまし討ちのようなことが立派な数学の中にあるんだ…。ただ公式に当てはめて計算するだけではない、数学の面白さにわくわくしたものです。

、1976年に私の同学年の作家村上龍が『限りなく透明に近いブルー』という題名の小説を発表して、それが芥川賞を受賞しました。ピンときましたね。この人も高校時代数学の微分の時間に授業をうわの空で窓の外の青空を眺めていて、「限りなくゼロに近いがゼロではない」というフレーズが胸底に響いたのだ・・・と。

 この題名は1行詩とも言って良いと思います。これほどインパクトのある題名の本なのに実は小説は読んでいません(笑)。積分をしなくても導関数だけで十分という感じかな。でも今度読んでみようか…。

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コメント

積分をしなくても導関数で十分・・・うっ、見透かされている(´Д`)
結構もう分かった気でいますが、使いこなせる様に頑張りたいと思います。
微分の公式を考えた人ってうまい具合にマッチしているというか、パズルみたいというか、からくりというか、面白いですよね。うまい表現が出来ないですが。

投稿: ニコニコ | 2016年9月26日 (月) 01時30分

ニコニコさん

導関数というのは現実のドロドロから抽象化した世界、まあ詩(ポエム)のような世界かもしれません。村上龍のドロドロを見なくても私のドロドロがあるって感じですかね。
微積分に通じる考え方は古代から世界のいろいろなところにあるのですが、現代の微積分学を確立したのは英国のアイザック・ニュートンとドイツの哲学者ゴットフリート・ライプニッツです。二人とも気むづかしい変人だったといわれています。
数学と物理をつきつめていくと微積分は生まれるべくして生まれたものと言えるでしょう。
宇宙のかなたに高度な文明があるとすれば、そこにも必ず微積分は学問として確立されているはずです。
そこでの教育が、今の日本のように大量の「置き去り」をしているのか否かはわかりません。
でも間違いなく微積分がわかって感動している若い生き物はいるでしょうね。

投稿: SUBAL | 2016年9月26日 (月) 10時15分

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