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American Airlines flight 383 ディスクの破面

 今年10月28日シカゴオヘア国際空港で起きたジェットエンジン(CF6-80C2)タービンディスク破壊事故では、11月4日の時点でNTSB(National Transportation Safety Board)から破壊した高圧タービンディスクの破面が公開されています。 

American_airlines_flight_383

 こちらで公開されている写真に注釈を入れてみました。

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 まずわかるのは、最終破壊した面に矢筈のようなシェブロンパターン(Chevron Pattern)が見えることです。脆性破壊した証拠です。金属疲労では、最終破壊では延性破壊をする場合と脆性破壊をする場合があります。延性材料が脆性破壊する場合は、疲労亀裂が進展して、応力拡大係数が破壊靭性値を超えた場合です。

 左側に黒っぽく見える部分は、疲労破面でしょう。燃焼ガスで焦げた跡と考えられます。中央部に空いたドーナツの穴のようなボア部でもおよそ20㎜あります。

 CF6-80C2は古いエンジンですから、何度かの重整備が行われたはずです。そこで非破壊検査が必ず行われています。

 履歴を調べていけば、いつ検査をしたかもわかるはずです。破壊した個所こそ異なるものの状況はUA232便の事故と状況はよく似ています。損傷許容設計思想の根幹を揺るがす重大な事故である可能性が高いのです。

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コメント

左のゾーンに細長い三角の様な形をした箇所も焦げた跡なのですか?
シェブロンパターンだと意識して見たのは今回が初めてです。
少しラチェットマークと見誤ってしまいそうな雰囲気の模様なんですね。

投稿: ニコニコ | 2016年11月28日 (月) 00時42分

ニコニコさん

 限られた情報から破壊の原因とプロセスを推理することは、考古学とか事件捜査のように、知見に基づく推理力が試されるところかと思います。
 こういう場合、明白にわかる事実・推測できる事実、そして不明な疑問点を区分けしていく作業から始めるのが常道でしょう。

(1)シェブロンパターンは確実。最終的には脆性破壊(線形弾性破壊)をしたとは言える。

(2)シェブロンパターンの向きから言って、ボア部(ドーナツの内側円)に破壊の起点があることも確実。

(3)左側の焦げているように見える部分が、疲労破面である可能性が高い。

(4)焦げているのは、有機物が燃えたあとかも知れない。浸透探傷の浸透液かも?←非破壊検査によるき裂の見逃しがあったことを示す証拠?

(5)右側の黒い矢印も焦げた跡?疲労破面?←多分違う。形と色から破壊後何かにあたってついたものと推測。

(6)「疲労破面」としたところのかたちがいびつ。真ん中に焦げていないように見える部分がある。この破面のいびつさがこの破壊の特徴を示しているのではないか。

 詳細な事故報告書が半年ぐらい後に出てくるものと思われますが、現時点での情報から可能な限り頭を回して推論を立てて報告書を読むと、深読みが可能になると思っています。

投稿: SUBAL | 2016年11月28日 (月) 09時40分

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