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IHI 航空機エンジンの整備・検査で不正

 残念なニュースが流れています。

 共同通信『国交省、IHIに業務改善命令民間航空機のエンジン整備不正で

 IHIよおまえもか!という感じがします。この件に関しては、こちらの記事『IHIの不適切検査、背景は検査現場の「余裕のなさ」か 』(MONOist)のが良く取材をしていると思います。

 会社はこの件の発生要因として、

  1. 航空エンジン整備の検査記録の公的重要性に関する意識の乏しさ
  2. 検査職場という品質保証上重要な職場に対するマネージメント層の関与不足
  3. 資格が必要な業務を伴う検査職場における実地教育(OJT)制度の不明瞭さ

 を挙げているようです。小手先の『改善』では済まない問題をはらんでいますね。

 航空機エンジンの検査という仕事は、私にとっては他人事とすることができない問題です。IHIの見解で特に「検査職場という品質保証上重要な職場に対するマネージメント層の関与不足」という認識は、これではいかんという感じがします。

 この言い方は、「現場は得てして検査不正に走りがちであるからマネジメント層が適切に関与することで不正を防ぐ」という認識なのでしょう。そうなんですかね?

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 航空機及び航空機エンジンの検査員を担う若者と数多く接してきた実感から言って、彼らが怠惰から検査不正に走るとは思えません。おそらくは、納期や採算等といった有言無言のプレッシャーがマネージャー側からあって、それに抗しきれなかったというのが実情でしょう。今回の件が明らかになったのは内部告発でしょ。誇りをもってやっていた仕事を辞める覚悟までして内部告発をした現場のメンバーがいるのですよ。問題はマネージメントする側の意識改革でしょう。

 私は非破壊検査技術者です。航空機産業の非破壊検査はNSA410(米国)もしくはEN4179(欧州)のどちらかの規格で認証された検査員が実施することになっています。実はこの2つとも企業内認証制度の規格なのです。そこでは、訓練・学科試験・実技試験はすべて企業内のLevel 3技術者から選任されたResponsible Level 3が計画して実施します。米国や欧州の実情を見てもこのResponsible Level 3の負担はとても大きいのです。特に現場を勉強していない視野の狭いマネージャーの下でのResponsible Level 3の負担は並大抵ではありません。

 そこでNANDTBという国がバックアップする制度が考え出されて、欧州から運用が始まっています。日本でも一昨年NANDTB-JAPANが設立されて歩みを始めています。このシステムを軌道に乗せて定着させていきたいものです。目下の問題を解決する一助にはなると信じています。

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コメント

谷口先生の超音波の本では楽しく大変勉強させていただきましたものです。ありがとうございます。

わたくしの勤務先においても、生産部門の生産ラインの中で、非破壊検査員がおおきな負荷を背負ってしまいます。わたくしは現在Responsibleレベル3ですが、生産ラインから外れた生産技術部門で設備や検査員の維持、技術的指導にとどまり、直接生産ラインを管理する部門に対し、合理的な検査時間を請求しにくい雰囲気にございます。                     また現在、検査員の多くは、他の外注会社から委託契約で来ていただいて非破壊検査業務をしていただいており、時間でなく、検査数量などを基礎とした支払計算であることや、生産ラインから計画性のよいとはいえない生産量の集中期の発生などで、急いで検査工程を終えてしまおうとすることに伴う過ちをおかしやすい環境にあります。
他社検査員と一体となって必要な時間を確保する。非破壊検査が、生産プロセスの律速段階になり、検査員が急がされても、無理をせず必要な時間をみえるようにして、非破壊検査を軽んじられることなく人員の増員などをマネジメントに知らしめるということを、もっとよく心がけようとしております。
昨今の検査関連の不祥事があいついでいる状況が、理解できるものであり、声を大きくして検査員の作業環境改善に努めます。
ご指導りがとうございます。

投稿: | 2019年4月14日 (日) 18時31分

生々しい現場の様子を伝えていただきありがとうございました。非破壊検査という技術の特性から、短視野のマネジャーからはコストカットの餌食になりやすい分野になります。ご指摘のような状況は形を変えていろいろなところにありそうです。そのような中でResponsibleレベル3をされている場合、ストレスも並大抵ではないと想像します。
規制当局や制度設計をしている人たちが、そのような現状を認識したうえで誤ったマネジメントをどのように改善するのかの視点を入れて施策を練ってほしいものだと思います。
ストレスに押しつぶされないように、知恵を働かせて、志を同じくする仲間の輪を広げながら頑張っていきましょう。

投稿: SUBAL | 2019年4月17日 (水) 06時16分

お言葉を頂き、有難うございます。
頑張ります。

投稿: | 2019年4月17日 (水) 19時22分

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