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週刊日本刀への疑問 刃文について

 週刊日本刀について大変斬新な編集であるけれど、根本的なところで何か変だと感じていると書きました。ひとつひとつ書いていきたいと思います。

 変だと思っているのは「刃文」についての取り上げ方です。この週刊誌は全百号予定されていますが、毎号等身大の刀の写真が5つ折りでついてくるとされています。その写真には「通常の見え方」と「刃文が浮かび上がる特殊撮影」の2つを掲載しています。試みとしては面白いと思います。

 私はこの「特殊撮影」を示しての「刃文」の説明に疑問を持っています。

 創刊号には刃文の説明にこのようなページが作られています。

Scan002

 このページの中には、次のような説明があります。

Scan001hamon4

 「博物館では展示されている刀剣のほとんどにこの化粧研ぎをほどこしている。」

 「ほとんど」というファジーな表現で、事実を問われた場合の逃げを打っています。この表現から皆さんは日本刀を展示している博物館へ行って100振りの日本刀を鑑賞したとき、化粧研ぎ以外の研ぎがいくつであったらこの「ほとんど」を納得するでしょうか?

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 私は少なくても10%以下でなければ納得しません。私も正確に数えて記録に残しているわけではありませんので、明確な数値を出せませんが、9割を超えることはないだろうという感触を持っています。「博物館に展示してある日本刀の中に化粧研ぎのものもそれなりにある」という表現が実情に近いと思っています。ここは、今回100振り紹介していただけるので、そのうちいくつが化粧研ぎなのか出版社に明らかにしてもらいたいものです。

 刃文の説明で置土と焼き入れによって刃文ができることは説明されているのですが、研ぎによって刃文が見えるようになることは一言も説明されていないのです。むしろ「仕上げ研ぎがほとんど化粧研ぎ」ということで、研ぎは本来の刃文を見えなくか見えにくくしている・・・といった誤解を与える流れの説明になっています。

 この週刊誌のプロモーションビデオの中にはこのような説明が出てきています。

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 徳川美術館所蔵の村正の写真を前にして、通常撮影の方を「化粧研ぎされたイメージ(通常の見え方)」、特殊撮影の方を「作刀された当時のイメージに近い」というキャプションをつけて説明しています。

  1.  徳川美術館所蔵のこの村正は化粧研ぎされているのでしょうか?
  2. 「作刀された当時」とは室町時代なのだろうけれど、どの時点を指すの?焼き入れ直後?研ぎのどの段階?

 突っ込みどころ満載の表現です。

 私は週刊誌の表現の細かいミスや稚拙さを突く気はありません。この特集を企画している人たちが、刃文の形成について研ぎの役割を無視するか後景に追いやるか、または「邪魔者」と位置付けるかのような視点や位置づけをしているのではないか?そのことによって何を狙っているのかに危惧をしています。

 私は現在非破壊検査技術者として日本刀の刃文について研究しています。それは、見事な技能を持った日本刀研ぎ師の存在意義を脅かすような動きがあることに関連しています。

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