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週刊日本刀の迷走と刃文をめぐるネット上の議論

 猛暑の中の東京大阪への出張から7日(水)に帰ってきました。そのダメージからなかなか抜け出せないでいましたが、どうやら良いようです。やはり歳のせいですか、回復が遅くなっています。

 この間に出ていた週刊日本刀の9号と10号を購入していました。

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 100号まで刊行されるそうですが、この10号までの迷走は目を覆うばかりです。創刊号が発売されるときにプロモーションビデオまで作って宣伝されていた『化粧研ぎによって隠されていた刃文をはっきりと浮かび上がらせる』とされた『特殊撮影』は4号で終わってしまいました。4号までの撮影をした池田長正氏は「もうやらない」といっています。公益財団法人 日本刀文化振興協会の特別研究員という肩書の女性が説明するプロモーションビデオは、私の目から見てもでたらめでした。徳川美術館所蔵の村正の刃文を「化粧研ぎのイメージ」と紹介し、特殊撮影によるハイコントラストの刃文像を「作られた当時の」「本来の刃文」と紹介し「これを見るとタイムスリップできる」とまで言っていました。プロモーションビデオはすでに削除されています。

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 出版社の側からの説明は、10号までの時点で全くありません。これで定期購読を勧誘していたわけですから、説明責任はあるでしょう。不誠実です。他の記事もどこまで責任もって書いているのか疑わしいです。

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 そんな中で、週刊日本刀の特殊撮影の話題から端を発した刃文に関する議論が8月の初めからネット上で始まりました(こちら)。そこには週刊日本刀で特殊撮影を担当した池田長正氏や、現役の日本刀の研ぎ師、海外で日本刀を作っている方などが参加してワイワイガヤガヤ話が展開していきました。その中で、

  1. 「特殊撮影」を行ったご本人が「4号まででやめた」ことを表明し、
  2. 創刊号の村正は化粧研ぎではなく差し込み研ぎであること、
  3. プロの研ぎ師が「現代の差し込み研ぎ」というのは「研ぎの過程で酸を使う」ことであると明らかにし、
  4. 私が両国の刀剣博物館で撮影してきた「現代刀職展」の研ぎ部門で入賞した作品は酸を使った「酸研ぎ」である

といった普通ではわからないことが明らかになりました。

 多くのネット上の議論では、互いの主張を繰り返して、険悪なムードで終わることが多いのですが、この議論はそうではありませんでした。当初は見解が対立していた研ぎ師さんが、最後に私が現在行っている研究に対して「できる限りの協力をさせていただきます。頑張ってください!」と表明されたのです。疲れた中でしたが議論に参加して本当に良かったと思います。

 週刊日本刀の発刊が、このような出会いを作ったともいえるわけで出版社や編集部に、多少の皮肉を込めてですが、感謝したいです。でもそれとこれからも購読を続けるかは別の話です。

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