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アルキメデスの原理を学んだ金塊詐欺集団とゴールドテスター

 12年前に書いた記事の続編です。12年前の記事では、金の中に密度(比重)の違うものを入れると、アルキメデスの原理によって見破ることができるけど、金と密度(比重)がほとんど同じならアルキメデスの原理では見破るのが難しくなります。そこで金塊の中にタングステンを入れた詐欺グループが出現したという話でした。

Gold-bullion

 それに対して、超音波を使ったゴールドテスターが開発されたというところまで書きましたが、どうしてタングステンが入っていることが超音波でわかるのかについては、書いていませんでした。 

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 簡単に言うと、音響インピーダンスの異なる境界で超音波は反射しやすくなるという原理を使います。これは、私の専門である部材の中に有害なきずがあるか否かを調べる超音波探傷の基本原理です。病院で行うエコー検査も原理としては、まったく同じです。

 音響インピーダンスは、密度と音速の積で求めることができます。タングステンと金では、音速が違いますので、音響インピーダンスの差があります。音速は、密度と弾性定数(バネとしての強さ)の関数です。金とタングステンは、密度はほとんど同じですから、バネの強さに違いによって音響インピーダンスに大きな差が生じています。この物理特性を利用します。

Gt

 金からタングステンに超音波が伝搬するときの音圧反射率(R)を金の音響インピーダンス(ZG)とタングステンの音響インピーダンス(ZT)から計算しますと、

Gtr

 となります。音圧反射率24.5%は現在の超音波探傷器では十分すぎる値ですから、垂直探触子を当てるだけ金とタングステンとの境界からエコーが出てきて、ニセ金塊は容易に判別できます。1980年代には、三菱電機系列の会社が、汎用超音波探傷器の簡単な改変によって作ったニセ金塊判別装置に『ゴールドテスター』と名をつけて銀行向けに販売しました。それから約20年後の2007年6月に、タングステン入りの金塊で詐欺を働こうとした一味が捕まっています。詐欺師くんも超音波を勉強したら、タングステン入りのニセ金塊を作る気はなくなるでしょう。

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