科学技術

週刊日本刀第1号の村正は化粧研ぎではなかった

 週刊日本刀の最大のウリである刃文の『特殊撮影』について疑問点をいくつかの記事にしてきました。そのひとつがほぼ解決しました。それは週刊日本刀創刊号に掲載された徳川美術館所蔵の村正の研ぎは化粧研ぎではないだろうという疑問です。

 私と一緒に共同研究している欧州在住の日本刀研究者の方がFace Bookに以下の書き込みをしました。

 「この週間日本刀の目玉は『特殊撮影された五つ折の原寸大刀身画像』ですが、初回の村正を『化粧研ぎ』とし、研ぎによって見え難かった刃文を特殊撮影で捉えた画期的な画像、と紹介されている事に大きな違和感を感じます。この村正は徳川博物館の所蔵品ということですが、この博物館は、所蔵刀の新規研魔はしない方針で、江戸時代の名人によって研がれた名刀が数多く現存する事でも有名です。この村正も古い時代に研がれた差込み研ぎではないでしょうか?」

 これに対して、週刊日本刀で『特殊撮影』を担当している池田長正氏が書き込みをしました。池田氏は、著名な研ぎ師であり、公益財団法人日本刀文化振興協会評議員でありNHK文化センター講師でもある方とのことです。この方のコメントです。

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 同じFace Bookの別なコーナーにはこんな書き込みをしています。

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 ええっ!ほんとですかという感じです。私は心配になりました。

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週刊日本刀への疑問 明らかな化粧研ぎの来国俊はなぜ『特殊撮影』をしないのか?

 週刊日本刀第6号を買ってきました。この号の等身大写真の刀は来国俊です。この刀は週刊日本刀のウリである『特殊撮影』をしていません。『特殊撮影』されているのは、1号から4号までで、そこには同じ側(銘のある側)の2枚写真のうち下側の写真近くに「特殊な撮影法で刃文を浮かび上がらせた刀身写真」という説明がついています。5号と6号では、2枚の写真が並んでいますが、銘のある側と無い側(裏表)の写真であり、「特殊な撮影法で…」との説明書きはありません。『特殊撮影』をしていないということでしょう。

 私が疑問に思うのは、6号の来国俊が明らかな化粧研ぎであるにもかかわらず、なぜ『特殊撮影』をしないのかということです。下の写真を見れば日本刀の刃文に関心がある方であれば、化粧研ぎであることは疑問の余地はないでしょう。

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週刊日本刀への疑問 特殊撮影でなくても刃文が明瞭に目視できる日本刀が存在する

 週刊日本刀の大きなセールスポイントは「博物館などに行ってガラス越しに見たり、普通に写真を撮ったのでは見ることのできない刃文の姿を特殊撮影で明瞭に見えるようにして五つ折の等身大の写真にして提供する」ということでした。これはこれまでにない画期的な試みでしょう。

 ただ、

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 こちらの記事で紹介したように、プロモーションビデオの中で、化粧研ぎとは考えにくい徳川美術館蔵の村正の写真を示して「化粧研ぎされたイメージ(通常の見え方)」と紹介してみたり、刃文のコントラストを上げた「特殊撮影」の方を示して「作刀された当時のイメージに近い」と紹介するのは何を指して何を根拠にしているのか大いなる疑問がわきます。まして、「特殊撮影写真を見ると作刀された当時にタイムトリップできる」に至ってはばかげているとしか言いようがなく、週刊日本刀の取り組みの品位を大きく落としているといわざるを得ません。

 実は、最近日本刀を展示している博物館へ行くと週刊日本刀が「特殊撮影」としている刃文の見え方と似たようなコントラストの刃文が普通に肉眼で見える刀を見る機会が増えています。その例を紹介します。

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特殊試験片製作・加工に特化した町工場

 昨日東京都大田区大森にある町工場を訪問してきました。大和鋼機株式会社です。細い路地を入っていって小学校の隣にあるこれぞ町工場という感じの会社です。

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 主に鍛造品の引張試験片・シャルピー衝撃試験片などの材料試験片を作ることに特化した会社です。

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 工場の中に入ると大きなバンドソー、マザックのNC工作機械、汎用旋盤、フライス盤などの工作機械の周りに大小さまざまな材料と、色の異なるキリコが飛び散っていました。

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週刊日本刀への疑問 特殊撮影とは何をやっているのか?

 週刊日本刀の最大のウリである等身大の刃文をコントラスト高く写した特殊撮影と銘打った写真、4号までの写真を見て何をやっているかおおよそ想像がつきました。前の記事で説明した匂(におい)を強調した撮影法です。匂は冶金学的にはセメンタイトとフェライトで構成されるパーライトであり、砥石による研磨によって刃や地金に比べて微細な凹凸ができることが私たちの研究の結果明らかになっています。この表面の微妙な滑らかさの違いが光の反射の違いを生み出し、刃文として人間の目に見えてきます。

 刃文を鑑賞するには独特の方法が取られます。その方法は週刊日本刀の創刊号でも解説されています。

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  この鑑賞方法で沸と匂がどのように見えるかを解説しましょう。まず表面に滑らかなところと粗いところが混在していると、照明光と視線の方向の違いで明暗が反転します。

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 視線が面に対して直交する場合、照明が斜めのであれば、表面が粗いほうが明るく見えます。逆に照明光も視線と同じ(同軸落射照明といいます)であれば、滑らかな方が明るく見えます。これは刀の刃文を写真撮影したり顕微鏡で観察したりするとわかることです。

 上の刀の鑑賞法は、表面の粗さによって異なる正反射と散乱反射の違いによる明暗の変化を正反射の入射角を変化させてみているのです。

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週刊日本刀への疑問 刃文の沸と匂

 週刊日本刀、5号の「石切丸」が出ました。どこまで買うかは様子見というところですが、5号は買いました。今回の原寸刀身写真は、これまでと違って同じ面ではなく裏表違う面の写真を掲載しています。普通に見える見え方と、特殊撮影で出来た当時の本来の刃文を比べて見せるのではなかったんですかね。今回の石切丸の刃文は直刃(すぐは)ですが、上下の写真の様子はほとんど同じなんですよね。(よく見ると5号の石切丸は特殊撮影をしたとは書いていないんですね。すべて特殊撮影の写真を載せるものだと思い込んでいました。)

 4号までの「特殊撮影」を見ると、刃文の匂と呼ばれるところを白く浮き立たせることに注力しているように見えます。撮影方法と画像の処理方法の見当がつきました。

 創刊号で刃文を構成する沸(にえ)と匂(におい)を説明しています。

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 この説明では沸と匂は「どちらも冶金学的には同じものだが、粒子の大きさが異なる」としています。粒の大きさの違いであるという説明は刀剣関係の本ではよく出てきます。「冶金学的には同じ」というのは初めて聞きました。金属組織としては同じということでしょう。ほんと?いったい何と呼ばれる金属組織なのでしょう?編集部に質問状を出す機会があれば訊いてみたいと思います。

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週刊日本刀への疑問 刃文について

 週刊日本刀について大変斬新な編集であるけれど、根本的なところで何か変だと感じていると書きました。ひとつひとつ書いていきたいと思います。

 変だと思っているのは「刃文」についての取り上げ方です。この週刊誌は全百号予定されていますが、毎号等身大の刀の写真が5つ折りでついてくるとされています。その写真には「通常の見え方」と「刃文が浮かび上がる特殊撮影」の2つを掲載しています。試みとしては面白いと思います。

 私はこの「特殊撮影」を示しての「刃文」の説明に疑問を持っています。

 創刊号には刃文の説明にこのようなページが作られています。

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 このページの中には、次のような説明があります。

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 「博物館では展示されている刀剣のほとんどにこの化粧研ぎをほどこしている。」

 「ほとんど」というファジーな表現で、事実を問われた場合の逃げを打っています。この表現から皆さんは日本刀を展示している博物館へ行って100振りの日本刀を鑑賞したとき、化粧研ぎ以外の研ぎがいくつであったらこの「ほとんど」を納得するでしょうか?

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HONDA F1で13年ぶりに優勝

 HONDAがF1オーストリアGPで優勝したというニュースが流れてきました。HONDAオフィシャルサイトF12

13年ぶりだそうです。

 

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Deagostini 週刊日本刀 興味深い試みだが…

 デアゴスティーニ・ジャパンから週刊日本刀 [分冊百科] が5月28日に刊行されました。本屋で立ち読みしたら面白そうなので、購入しました。

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 創刊号は42頁、全ページカラーでバインダー付き199円でした。2号からは639円+税(690円)です。創刊号は格安の価格にして普及させて定期行動区に結び付けようとする意図は明白です。それ自身は商売としてありでしょう。ただ全部で何号迄刊行するのかを明示しないで定期購読を募集しているのは、こちらも警戒心を持ってしまいます。どうやら100号ぐらいまでは刊行しそうなので、本だけで総額7万円程度になりそうです。週刊で100ということは約2年ですから、内容が良ければ趣味の範囲で手に入れるのも良いかなと考えてしまいます。

 全国を旅しているときに近くに日本刀を展示している美術館があれば、立ち寄って鑑賞するのを楽しみにしています。予習復習にあっても良いかなという気がします。これまで4号出ていまして、購入しています。

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平成30年の個人史 その1 つまようじブリッジコンテスト

 1969年から始まった平成、たまたまではあるけれど私個人にとってもそれまでとは大きな区切りをつけて駆け抜けた30年でした。次の30年はあるのかないのか、あるとしても同じようにエネルギッシュに行動することは無理でしょう。だからと言って妙な自己限定をすることなく、倒れるまで前向きに歩み続けたい。そんなことをここ数日考えていました。

 世間がどう評価するかは別として、自分自身が「これはやったな」と認めることができる仕事がこの30年間の中にいくつかあります。それらをこの時点でまとめておくことにしました。

 最初はやはりこれかな?「つまようじブリッジコンテスト」。1997年(平成9年)から2007年(平成19年)まで11年にわたり毎年日本航空専門学校の私が担当していた学科で開催していました。

 市販のつまようじと木工用ボンドだけを使い完成重量100g以内で500mmのスパンにかける模型の橋を作って耐荷重を競うコンテストです。

 第1回の優勝作品の耐荷重は17.5㎏でした。

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5年後の2001年には、85㎏に耐える作品が登場しました。

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