今回の大会でつまようじブリッジコンテストを終わらせるとアナウンスをしてから、「なぜ終わらせるのか」という質問を何度も受けました。
今回新記録が出たこともあり「復活も考えていますか?」という質問も報道機関から受けました。復活はありません。
なぜ終わらせるのか、色々な角度から述べることが出来るのですが、改めて考えてみると、はじめるときに考えたこと、そしてこのコンテストが面白く発展してきた原動力になってきたことこそが、今回終わらせる一番の理由です。
それは、
「なるべくシンプルなルールにする」ということです。主催者が作らせたい形や、教え込みたい形に「導く」ために、様々な禁止事項を設けるやり方はとりたくなかったのです。結論ははじめから見えていて、それを確認する実験を繰り返して何らかのことを教えているような雰囲気をかもし出すことはしない。
方向性を与えるだけのシンプルなルールを定めて、その範囲であればすべてを許容する、そんなコンテストにしたかったのです。生まれ出るアイデアは、ルールの項目数に反比例する・・・そんなことを開始当時スタッフの間で確認しあっていました。
だから丸太棒でもOK。ただしもちろん強度が低ければ評価も低い。実際には丸太が強いのに「丸太はダメ、トラスにしなさい」といルールは作りたくなかったわけです。
橋に限らず現在の構造物の多くは鋼という材料の特性を生かしたカタチに(多くの事故事例を教訓に)なっています。つまようじと木工用ボンドで500mmのスパンに架けて中央部に集中荷重をかける、それに強い形はどんなんだろう、シンプルなルールはこのことを問うていました。
当初は「橋」のネーミングにこだわっていましたから、このルールがシンプルに問うているところに気づくまでに時間がかかりました。ただ、この間に様々なアーチ橋が考えられ工夫されてきたのは、とても面白かったのです。
「わかってしまったこと」から試行錯誤の過程をなで切るのは、簡単なことです。結果を解釈しているに過ぎませんから、いわば答えを見てから計算問題を解くようなものです。そうではなくてわかってゆく過程を楽しみたいと、考えたのです。ものを作ってゆく過程は、計算問題を解くことに比べるとずっと複雑でしかもダイナミックです。
最初は接着剤でコーティングすれば強いのではないか、と接着剤を塗りまくるのもありました。でも酢酸ビニル樹脂の接着剤と弱いとはいえ白樺材のつまようじではその強度は桁違いですから、コーティングは何の意味もないばかりかマイナスです。こんなことも、実際にやってみると一目瞭然にわかってきます。そういうひとつひとつの確認の積み重ねが伝統として引き継がれ、次第に進歩していったのです。
そうして、10年かかってほぼ答えに行き着いたのです。つまようじと木工用ボンドで作った構造物で500ミリのスパンの中央に力をかけても、300キロに耐えるものが出来る、これがひとつの答えです。わかってしまえばシンプルです。だから終わるのです。終わらせるべきだと考えました。
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